オスカーの決断 〜2〜 ページ14
少しすると事務室の内線が鳴る。
「はい。……分かりました。応接室に通してください」
ジェイドが電話を切る。
「セナさん。オスカーが来ました。応接室に行きましょう」
「了解ッス！」
二人は応接室に向かった。
応接室に入ると、オスカーが既にソファーに座って待っていた。
「お待たせしました。オスカー、久しぶりですね」
ジェイドとセナを見るなり、オスカーがソファーから立ち上がった。
「ジェイドさん、セナ先輩。お久しぶりです」
「どうぞ座ってください」
「はい」
三人はソファーに座る。
間もなくして、スタッフが飲み物を持ってきてくれた。
「オスカーがマリアさんがいない本店に来るなんて、珍しいですね。今日はお仕事お休みですか？」
「はい。ジェイドさん、セナ先輩。どうしましょう…」
オスカーがいきなり変な事を言い出した。
「どうしましょう…って、何がです？」
「それが…」
オスカーが少しうつむいた。
ジェイドとセナが顔を見合わせた。
「オスカー。俺たちに何か相談しに来たのか？」
「……はい…」
「もったいぶらないで、聞かせてくれませんか？」
「…実は…。マリアが…その…、妊娠してしまいまして…」
「妊娠っ？」
「マジかよ…」
「マリアさんの体調不良って…、もしかして妊娠が原因だったのですか？」
「はい…。最初はただダルさが続いて食欲も少し落ちて…くらいだったのですが、どうやら、つわり…というものだったようで…お恥ずかしい話しですが、僕はそう言うことに疎すぎまして…」
「うん。知ってるよ」
セナがサラッと言う。
「それで、マリアさんの具合は？」
「はい。今は少し落ち着いていますが、日によってだいぶ波があるようです」
「Aと似ていますね…」
「そうッスね…」
「この事はもちろんアズールも知っているのでしょう？」
「はい。アズールさんは、男ならこれを機にちゃんと身を固めろと…」
「でしょうね…」
「マリアちゃんはどうしたいって言ってるんだ？」
「子供は産みたいと…」
「だよな…」
「オスカーはどうしたいのです？」
「はい。マリアの希望通りにしたいと思っています。ただ…、まだ僕は結婚出来るほどしっかりした人間では無いような気がするのです…」
「要は、自信がないんだろ？」
「……セナ先輩の言う通りです…」
「それで、どうしましょう…、と、悩んでいるのですね？」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月9日 22時
