小さな魔法士 〜3〜 ページ12
その日の夜。
ジェイドたちは夕飯を食べていた。
『キュンッキュンッ!』
「パパ。くーちゃんおかわりだって」
「ふふふ。サクラ、ありがとう。くーちゃん、少し待っていてくださいね」
ジェイドがキッチンにキッシュのおかわりを取りに行った。
「パパ!サクラもおかわり〜っ」
「はいはい。サクラの分も持っていきますね」
いつもの夕食風景だ。
「ねぇ、ママ〜。ママのお腹に、赤ちゃん入ってるのぉ?」
サクラが突然聞いてきた。
「えっ?……あぁ…。ううん。ママのお腹には、赤ちゃんいないよ」
「何で〜?アーリーちゃんのお腹には赤ちゃん入ってるのに。ココちゃん、お姉ちゃんになるんでしょ?良いなぁ…」
ジェイドがキッシュのおかわりを持ってきて座った。
「サクラもお姉ちゃんになりたいのですか?」
「うんっ!だって、くーちゃんもお兄ちゃんでしょ?サクラだけお姉ちゃんになれないの、イヤだもん…」
ジェイドとAは顔を見合わせた。
「サクラ。もし、お姉ちゃんになったら、赤ちゃんのお世話……、うーん、一緒に遊んであげたり、サクラのやりたい事も、我慢しなくちゃいけない時もたくさん増えるんだよ?」
「サクラ、出来るもんっ!」
「ふふふ。A。サクラが想像するには、少し難しいかもしれませんねぇ」
「……うん…」
それからサクラは、しょっちゅう、お姉ちゃんになりたいとか、ママのお腹に赤ちゃん入ってるの?と聞くようになった。
ある日の夜。
Aの部屋の隣に作ったサクラの部屋で、サクラとくーちゃんがベッドで眠った事を確認し、Aが寝室に入ってきた。
ベッドの横の机でジェイドが難しい顔をしてタブレットとにらめっこしていた。
「サクラとくーちゃん、やっと寝たよ…」
「ありがとう、A」
ジェイドがタブレットを見たままAに返事をした。
「もうすぐオープンだね」
「ええ。それについての微調整がなかなか上手く進まなくて…」
来月、新しい試みで、本店の近くに本を読みながらプリンを食べられるというコンセプトの店をオープンすることになっていた。
ジェイドが選りすぐりの大量の本を仕入れ、店内には色々なジャンルの本が並ぶ。
プリンがメインだが、ドリンクや、ちょっとしたサイドメニューも考案した。
一大プロジェクトだった。
「上手く行くと良いね」
「絶対に上手く行きますよ」
Aがベッドに座った。
ジェイドの仕事を何となく見つめていた。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月9日 22時