検索窓
今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:1,336 hit

小さな魔法士 〜3〜 ページ12

その日の夜。

ジェイドたちは夕飯を食べていた。

『キュンッキュンッ!』

「パパ。くーちゃんおかわりだって」

「ふふふ。サクラ、ありがとう。くーちゃん、少し待っていてくださいね」

ジェイドがキッチンにキッシュのおかわりを取りに行った。

「パパ!サクラもおかわり〜っ」

「はいはい。サクラの分も持っていきますね」

いつもの夕食風景だ。

「ねぇ、ママ〜。ママのお腹に、赤ちゃん入ってるのぉ?」

サクラが突然聞いてきた。

「えっ?……あぁ…。ううん。ママのお腹には、赤ちゃんいないよ」

「何で〜?アーリーちゃんのお腹には赤ちゃん入ってるのに。ココちゃん、お姉ちゃんになるんでしょ?良いなぁ…」

ジェイドがキッシュのおかわりを持ってきて座った。

「サクラもお姉ちゃんになりたいのですか?」

「うんっ!だって、くーちゃんもお兄ちゃんでしょ?サクラだけお姉ちゃんになれないの、イヤだもん…」

ジェイドとAは顔を見合わせた。

「サクラ。もし、お姉ちゃんになったら、赤ちゃんのお世話……、うーん、一緒に遊んであげたり、サクラのやりたい事も、我慢しなくちゃいけない時もたくさん増えるんだよ?」

「サクラ、出来るもんっ!」

「ふふふ。A。サクラが想像するには、少し難しいかもしれませんねぇ」

「……うん…」



それからサクラは、しょっちゅう、お姉ちゃんになりたいとか、ママのお腹に赤ちゃん入ってるの?と聞くようになった。



ある日の夜。

Aの部屋の隣に作ったサクラの部屋で、サクラとくーちゃんがベッドで眠った事を確認し、Aが寝室に入ってきた。

ベッドの横の机でジェイドが難しい顔をしてタブレットとにらめっこしていた。

「サクラとくーちゃん、やっと寝たよ…」

「ありがとう、A」

ジェイドがタブレットを見たままAに返事をした。

「もうすぐオープンだね」

「ええ。それについての微調整がなかなか上手く進まなくて…」

来月、新しい試みで、本店の近くに本を読みながらプリンを食べられるというコンセプトの店をオープンすることになっていた。

ジェイドが選りすぐりの大量の本を仕入れ、店内には色々なジャンルの本が並ぶ。
プリンがメインだが、ドリンクや、ちょっとしたサイドメニューも考案した。
一大プロジェクトだった。

「上手く行くと良いね」

「絶対に上手く行きますよ」

Aがベッドに座った。

ジェイドの仕事を何となく見つめていた。

オスカーの決断 〜1〜→←小さな魔法士 〜2〜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (7 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月9日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。