決闘の申し込み 〜3〜 ページ9
Aは一気に不安に襲われた。
ジェイドを見上げる。
泣きそうだった。
「大丈夫。Aが負ける訳ありません…」
ジェイドが優しくAを抱きしめる。
「決闘…」
「大丈夫です。絶対に…」
ジェイドは更にAを強く抱きしめる。
「嫌だ…。私…、決闘なんて怖いですよ…。しかも相手が、あのオスカーだなんて…」
オスカーの鋭い目つきを思い出す。
「諦めて寮長の座、譲りますか？」
ジェイドが本気で言った。
「それはもっと嫌…。あんな人が寮長になんてなったら…、オクタヴィネル寮は独裁寮になっちゃう…」
「阻止できるのは、Aしかいません…」
「………」
Aは小さく震えた。
「A…。A…」
Aは黙ったままジェイドにしがみついた。
「怖い…。闘うなんて…私に出来るわけないよ…」
「決闘は、魔法のみです。暴力行為は反則負けになります。オスカーなら、そんなセコい真似してこないでしょう」
「でも…。未だに彼の魔法、知らないし…。向こうは私が寮生に罰を与えるところを何度も見てるから、ある程度は把握されてる…」
「例え把握されている魔法があったとしても、Aの方が魔力は強いはずです。…それと、決闘の後の事は…僕に任せてください。Aが闘うのであれば、その後のAのフォローは必ず僕がしますから…」
ジェイドはAの頭を自分の胸に押し当てた。
「Aが魔法で人を傷つけたくないのも分かっていますが、今回は、そんな事言っていられません。オスカーを寮長にしたくないのであれば、攻撃魔法も展開すべきです。彼は全力でAを潰しに来るはずです」
「私が守りに走れば…、負ける可能性もあるって事…？」
「早く決着をつけるには、Aも攻撃しなくては。守りのまま長期戦に持って行って、オスカーの魔力が尽きるまで待つ作戦もありますが、最善策とは言えないでしょう。長期戦はAにもかなりの負担がかかるはずですよ…」
「………」
「決闘で、Aが負けるなんてあり得ません。ですが、相手も格上に闘いを挑む程ですから、油断はできませんよ」
ジェイドはAを抱きしめたままスマホを取り出した。
そして、誰かに電話をかけた。
「……お久しぶりです、アズール。お店、順調そうですね。……ええ。…実は、お願いしたいことがありまして。ある人物の魔法について調べて頂きたいのです」
ジェイドは情報通のアズールにオスカーの魔法について調べてもらうよう頼んだ。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
