決闘の申し込み 〜1〜 ページ7
時は流れる。
残暑も過ぎ、秋風が気持ち良い季節。
木々も紅葉し始める。
「庭の金木犀、凄く良い匂いしますね」
休日の午前中。
ジェイドの書斎のテラスで抹茶を飲みながら、Aは金木犀を眺めていた。
「そうですね。ちゃんと花がついて良かったですね」
「大家さんにこの金木犀、見てもらいたいな…」
Aはキッチンに空き瓶を取りに行く。
そして庭に出て地面に落ちている金木犀の花を集めた。
「うふふ。この瓶に花を入れて…」
花を入れた瓶に手をかざす。
「これでしばらくはこのまま香りも楽しめる！」
「その瓶、どうするんです？」
テラスから見ていたジェイドがAに聞く。
「大家さんにあげるんです。午後からプリン届けるついでに」
「きっと大家さん喜びますよ」
「はいっ」
Aは更にスマホで庭の写真を撮る。
〜この写真も大家さんに見てもらおう〜
先日、二人は大家さんが入居している施設にプリンを届けに行った。
その時、施設の職員から、入居者の人達にも是非プリンを食べさせたい、とお願いされ、定期的にプリンを配達することになった。
「こんにちは、大家さんっ」
「あら、Aさん、オーナーさん、こんにちは！待っていたわよ！」
午後、ジェイドとAは瞬間移動で大家さんの入居する施設に瞬間移動してプリンを届けにやって来た。
「うふふ。今日は、ハロウィン限定のかぼちゃプリンを持ってきました！」
「それは嬉しいわ！ありがとう。食べるのが楽しみだわ〜！」
「それと、これは大家さんにプレゼントですっ」
そう言ってAは金木犀の花の入った瓶を大家さんに渡した。
「金木犀？」
「はい。庭の金木犀、ちゃんと花が咲いたんです」
「本当に？」
大家さんが嬉しそうに瓶を眺める。
「魔法で長期保存出来るようにしたので、しばらくこのまま楽しめますよ。蓋を開ければ良い匂いもするし」
Aは瓶の蓋を開けてあげた。
「あら、良い匂い…。懐かしいわ〜。いつも色々やってくれて、本当にありがとう…」
「いいえ。あんな素敵なお家で過ごせて、私達の方こそ嬉しいです」
「A。僕は職員の方にプリンを届けて来ますね」
そう言ってジェイドは施設の食堂へプリンを運びに行った。
「あと、写真も見てくれますか？庭の写真撮ってきたんです」
「是非見せてちょうだい」
Aは大家さんと二人で庭の植物の話しをして盛り上がった。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
