フォードとフォード 〜2〜 ページ49
「そうですか？本当の事を言っているだけですがね」
「それが相手を不愉快にすることがあるって、考えた事ある？しかも上から目線で…」
「上から目線？だってそうでしょう。皆、僕より魔力も、学力も劣っているのに、どうして僕がそんな奴らに気を遣う必要があるんですか」
「それを言うなら、私はあなたより魔力はずば抜けて上です。更に、現在、学年首席ですよ」
「……」
「それに、私はみんなに気を遣って生きている訳じゃない。ただ、楽しく、笑って過ごしたいと思っているだけですよ。別にあなたの性格を直せとは言いません。決闘の時にも言いましたが、自分が特別な存在だと勘違いするのはどうかと思います」
「お見舞いに来たのではなく、説教をしに来たのですか？」
「そう思いたいのであれば、どうぞ」
「………」
「そんな生活続けて、楽しいですか？」
「楽しさなど、必要ありません。必要なのは知識と強さ。それがあれば、周りは皆、僕の言う事を聞きますから」
「それで寮長になりたかったのね」
「はい。僕がこうと言えばその通りに動く。そうすれば全て思い通りに行く」
「残念だったわね。あなたより強い私がいて」
「寮長が卒業したら、自然と次の寮長は僕で決まりですよ」
「そうね。寮生たちが可哀想…」
「僕なら寮生たちをもっときっちり正せますよ」
「ええ。オクタヴィネル寮だけ、独裁寮になるわね。あなたの思い通りに動かされる寮生たち…。協調性も何も無い、ただ力だけで押さえつけられる寮生活…」
「力さえあれば、煩わしい人間関係など、必要ないんですよ」
「要は、あなたは寂しいのね。本当は友達が欲しい。他の寮生たちの様に、笑ったり、時には喧嘩したり、困ったことがあれば助け合ったり。周りの人達が羨ましいんじゃない？」
「まさか」
「その割に、自分はこういう性格だから友達がいないって、最初に言っていたじゃない」
「それは違いますっ」
オスカーが開いていた本を勢い良く閉じた。
「うふふ。動揺しちゃって。図星、でしょ？」
「っ…。か…からかいに来たのなら、帰ってくださいっ。僕を心配してくれる必要もありませんからっ」
「ふぅん…。動揺したフォード君、意外と可愛らしいわね。うふふ」
「………っ」
オスカーは顔を赤くしてうつむいた。
「悔しい？でも、あなたは私に勝てない。もっと悔しいでしょ？どうする？力尽くで殴る？」
「女性に向かって…暴力など…する訳ないでしょう…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
