暴走寮長、寮に帰る 〜4〜 ページ47
三人は食べ始める。
「くーちゃん食べるの上手ですね」
くーちゃんは小さくしてもらったフォークやスプーンを上手に使ってAに取り分けてもらったサラダや肉を食べていた。
「私が眠っている間にジェイド君がきちんと食べ方を教えてあげたんだって。それに、食いしん坊で、くーちゃんの名前の由来にもなるほどクッキーが大好きなんだ」
「クッキーのくーちゃん？」
『キュンッ！』
「セナ正解って言ってる」
「ヘヘッ…。呼び捨て…」
「くーちゃんはみんな呼び捨てなんだよね…」
Aも苦笑いした。
「でも凄いよな…。オスカーのヤツ、こんな錬金術まで使えるなんてさ…」
「そうだよね。他のタコは私が全部消しちゃったけど、技術も作り上げる早さも、かなり凄いと思う」
「お前も出来るんだろ？錬金術」
「……うん…。一応ね…」
その話題で自分に振られるのは避けたかった。
「オスカーは、もう魔力戻ったの？」
「いや。まだ保健室でクルーウェル先生に世話してもらってるよ。一応、副寮長だし、俺がたまに様子を見に行ってやってるんだけどさ」
「そうだったんだ…。ありがとう、セナ君」
「いや。魔力のほとんどを吸い取られたみたいだから、回復もそれなりに時間がかかるんだって。でも、他のヤツに比べたら、これでも回復が早い方らしいよ」
「さすが…、オスカー…」
「そのオスカーより強いのがAだろ？」
「そうですよ！私、A先輩みたいになりたいです！」
「うふふ。アンナちゃん、それはやめた方が良いと思うよ…。凄く苦労するから…。魔力は強ければ良いってものじゃない…からね…」
Aはジェイドの手の怪我を思い出す。
「強い人にしか分からない苦労って…、あるんですねぇ」
アンナは素直に受け止めていた。
「明日…、私もオスカーの様子、見に行ってくるね…」
「俺も行くよ」
「大丈夫。セナ君はアンナちゃんとゆっくりしてて。明日からはちゃんと寮長の仕事に戻るから」
Aは二人に微笑んだ。
翌日。
朝食を取り、Aは寮長の仕事を終わらせるために寮長室へ行く。
「セナ君…。本当に代わりにやってくれてたんだ…」
溜まった仕事はほとんど無かった。
『キュンッ！』
「ジェイド君の所に？うん。わかった。まっすぐお家に行くんだよ。ジェイド君には今メッセージ送っておくから」
『キュンッ！』
ポンッ…
──今くーちゃんがジェイド君の所に行くって言って瞬間移動したよ。
くーちゃん来たかな？
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
