暴走寮長、寮に帰る 〜2〜 ページ45
『キュンッキュンッ！』
「ジェイドも連れてくって」
「おやおや。残念ですが、それは叶いません。僕の代わりを、くーちゃんがするのですよ？」
『キュンッ』
「ふふふ。お願いしますね。A。まだAの魔力がどのくらいかはっきり分かったわけではありません。決して無理しないようにね」
「はい。ありがとう、ジェイド君。くーちゃんはちょこちょこ来ると思うけど、私もまた来ます」
「ええ。いつでもいらっしゃいね。待ってますから」
ジェイドはAを抱きしめてキスをした。
「じゃぁ、行ってきます…」
「はい。行ってらっしゃい。セナさんによろしくお伝えください」
「はい」
Aが微笑んだ。
そして。
ビュンッ…
Aとくーちゃんはジェイドの前から消えた。
「昨日はあんなに賑やかだったのに…。この家に僕一人は寂しいですね…」
ジェイドは書斎に行き、本店に行く準備をした。
寮に戻ったAはセナにメッセージを送る。
──セナ君、長い間、お待たせしました。
今、寮に戻ったよ。
私がいない間、寮長代理ありがとう。
『キュンッ』
メッセージを覗き込み、くーちゃんが首をかしげた。
「後でセナ君たちにもくーちゃんを紹介しなちゃね。くーちゃん、ここには、始めましての人達がたくさんいるから、ちゃんとご挨拶するんだよ？」
『キュ〜ンッ！』
何故か喜んでいる。
間もなくしてセナから返信が来た。
──お疲れ様。
ちゃんと回復したか？
今夜、アンナと三人で快気祝いでもしよう。
と言っても、食堂でメシ食うだけだけど。
「うふふ。くーちゃん、今夜は食堂で夕飯食べようね」
『キュンッ！』
──ありがとう。
楽しみにしてるね。
夜。
Aはセナと約束した時間に食堂へ行った。
「寮長っ！」
「寮長だっ」
「おかえりなさい！寮長！」
食堂に入ると寮生たちから一斉に声をかけられた。
「えっ…？」
寮生たちの表情が明るい。
Aが状況が読み込めない顔をしていると、後ろからセナが声をかけてきた。
「よぉっ！A。お帰りっ」
「A先輩、おかえりなさい。待ってました！」
アンナも嬉しそうな顔をしている。
「あ、うん。ただいま…。あの…、この空気…」
「Aがオスカーから寮長の座を守ったから、みんな喜んでるんだよ」
「そう…なの…？」
「それに、すっげぇ魔法使って、みんなAの魔力の強さに憧れてるんだよ」
セナが笑った。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
