暴走、再び 〜3〜 ページ34
ジェイドは構わずフロイドに押し当てられたナイフを素手で掴み、二人の間に割って入った。
そして強引にAにキスをした。
「何をすっ……」
Aが言おうとしてもキスをやめない。
そのまま床に押し倒す。
フロイドは呆気に取られて立ち尽くした。
「んんっ！……」
嫌がるAをジェイドは床に力尽くで押さえつける。
キスもやめない。
「……んっ…」
抵抗し続けていたAがだんだん大人しくなる。
『キュ〜ンッ…』
くーちゃんはとりあえずフロイドの頭の上に乗った。
「自分が今、何をしたか、分かっているのですかっ！Aは、大切な仲間を傷つけようとしたのですよっ！」
「それよりも、くーちゃんの方が大切だろっ！」
「…まだ戻りませんか…」
ジェイドはAにまたキスをする。
「嫌っ！」
Aがまた抵抗しても、ジェイドは信じられない程の力でAを押さえつける。
「Aが元に戻るまでやめませんよっ…。こんな事をして、許させると思ったら大間違いですっ」
「ジェイド…」
Aに懸命に立ち向かうジェイドの姿に、フロイドは言葉が出ない。
『キュ〜ンッ…』
「ごめんね、くーちゃん。オレの…せいだ…」
頭に乗るくーちゃんに、フロイドが切なく呟いた。
くーちゃんはフロイドの肩に移動して頬に身体を擦り付けた。
「Aっ。早く元に戻りなさいっ！」
「フロイド先輩はくーちゃんに痛い事をしたんだぞっ」
「だからフロイドにも同じ事をして良いと言いたいのですかっ？しかも、本物のナイフを錬金までしてっ！」
ジェイドはAがフロイドの前に瞬間移動した直後に、一瞬でナイフを錬金する姿を見逃さなかった。
「調子に乗るのもいい加減にしなさいよっ。魔力が強いからって何です？魔力が強ければ、何でもして良いとでも思っているのですかっ！」
「離せっ！」
「絶対にっ、離しません。……死んでも、離すものですかっ」
ジェイドの目が怒りに燃えていた。
その目をAが睨みつける。
ジェイドの動きを止めようと魔法を展開した。
「っ！」
「僕にAの攻撃魔法は効きません」
「………」
「僕に攻撃魔法をかける勇気なんてないくせに、中途半端な気持ちで偉そうな口を叩くんじゃありませんよ」
ジェイドがしつこくAにまたキスをする。
何度も何度も。
「……んんっ…」
今度こそ、Aの力が抜けていく。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
