ジェイドとタコ 〜1〜 ページ24
しばらくジェイドはベッドに横になっていた。
Aは全く動かない。
寝息だけが聞こえる。
「明日…、起きてくれると良いのですが…」
そっとベッドから出る。
「傷の手当、してあげましょうね」
ジェイドが救急箱を取りに寝室を出ようとした。
『キュンッキュンッ！キュンッキュンッ！』
タコが寝室のドアの前で飛び跳ね、通せん坊する。
「どうしたんです？Aの怪我の手当をしたいのですが」
タコは首を横に振る。
「何か言いたいのは分かるのですが…」
タコはジェイドにAの所に戻るような仕草をする。
「僕に戻れと？」
『キュンッ！』
「タコさんが治せるのですか？」
タコは首を横に振る。
「うーん…」
タコは必死に何かを伝えようとしている。
ただ暴れているようにも見える。
すると、タコがジェイドのポケットに飛び込んだ。
「タコさんっ！何をっ…」
タコはマジカルペンをポケットから出した。
「……もしかして、先程と同じ事を？僕に力を、貸してくれるのですか？」
『キュ〜ンッ…』
微妙に違う様だが、タコが渋々うなずく。
「何か違うのですかね…」
ジェイドもスッキリと納得したわけではないが、マジカルペンを持ち、治癒魔法を展開しようとした。
すると。
『キュンッ！』
「えっ？」
タコがジェイドの胸の中に飛び込み、消えた。
「タコさんっ！」
お気に入りのタコが突然消えてジェイドは焦った。
〜Aの力を使う！〜
ジェイドの頭の中に突然声が響く。
「……タコさんの声…？」
〜今、ジェイドの中に入った。Aの力、貸してあげる。早くAを治してっ〜
「あ…、わ、分かりました…」
タコに言われるまま、ジェイドは治癒魔法を展開した。
〜加減は…〜
ジェイドが心で思う。
〜ほんの少しだけで大丈夫！〜
タコが答えた。
「分かりました」
ジェイドがマジカルペンを振った。
すると、Aの身体が青白い光に一瞬包まれた。
『キュンッ！』
タコがジェイドの胸から飛び出した。
「タコさん…」
ジェイドは呟き、Aの傷を確認する。
「綺麗に治っている…」
次の瞬間。
「うぅっ……」
ジェイドの全身に激痛が走った。
思わず床に膝と手をつく。
「はぁっ…はぁっ…」
息苦しい。
『キュ〜ンッ……』
タコが心配そうにジェイドの肩に乗る。
「だ…大丈夫ですよっ…。Aの魔力の…反動ですっ…。僕には…強過ぎた…ようですっ…」
ジェイドが苦笑いした。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
