決闘 〜3〜 ページ14
「寮長…、先に仕掛けたらどうですか？」
オスカーが真顔でAに言う。
「………」
Aは何も言わない。
「もしかして、怖いとか？」
オスカーが鼻で笑った。
「………」
それでもAは何も言わない。
「ふっ。それなら、僕から行きますよ？」
次の瞬間、オスカーが消えた。
「さすがですね。全く驚かないとは」
オスカーがAの目の前に現れた。
暴力行為は出来ない。
殴り掛かられることはない。
しかし。
「っ！」
突然、Aの足に何かが絡みついてきた。
Aが足元を見る。
「足っ…？」
タコの足が地面から伸びてAの足首に巻き付いていた。
「うふふ。やっぱりあなたもタコの人魚なのね」
「良いんですか？そんなこと言っている間に、地面に引きずり込まれますよ」
気付けば地面に水たまりの様なものが出来ていた。
その中にタコの足はAを引きずり込もうとしている。
「うっ！」
「そんなことを言っている間に、あなたは頭から地面に引きずり込まれますよ？」
Aは反復魔法を展開していた。
相手と同じ魔法を展開出来る。
「私の方が少し残酷かしら？」
オスカーは首にタコの足が巻き付けられ、そのまま地面の水たまりの中に引きずり込まれていく。
「やはりAさん。やりますね…」
アズールの言葉が後押しして、Aは完全に吹っ切れていた。
寮長の座を守るため、攻撃魔法も辞さない。
アズールはニヤリと笑った。
Aが足に絡みつく足を消去魔法で消す。
「ふっ。反復魔法ですか。厄介ですね…」
「どうも」
Aはオスカーがこのまま地面に引きずり込まれるなどとは思っていない。
オスカーも得意な錬金術でナイフを具現化してタコの足を切って行く。
そのナイフが意思を持っているかのように、A目掛けて飛んできた。
ビュンッ
Aは瞬間移動して回避する。
しかしナイフはしつこくAを追って飛んでくる。
「これ、本物のナイフです。刺されたら、死にますよ」
オスカーが次々とナイフを飛ばしてくる。
「私、防御魔法は得意なんです」
Aは自分に飛んでくるナイフに向かって右手を大きくあげた。
すると、Aを囲むようにに透明な壁が立ち上がる。
ジュワ〜ッ…
突然立ちはだかる壁に避けきれないナイフたちが次々と溶けていく。
「この壁、酸で出来ているんです。触ると、あなたごと溶けますよ」
「そうですか。ご忠告、ありがとうございます」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
