決闘 〜2〜 ページ13
「はい…」
「あと……、ジェイドから、伝言です」
「ジェイド君から？」
「『決闘が終わったら、すぐに僕のところに来なさい』と」
「え？」
「ジェイドはAさんがまた深い眠りに入ると分かっているのですよ」
「でも…」
「だから言ったでしょう？その後の事は、全部ジェイドに任せれば良いって」
「私がジェイド君のところに行ったら…、学園は…」
「卒業式の時、学園長がジェイドに何を言ったか聞いていないのですか？」
「私が暴走したら…よろしく頼みますよ…って…？」
「Aさん知っているではありませんか」
アズールがAの頭をポンポンと撫でる。
「決闘が終わったら、結果がどうであれ、瞬間移動を使ってすぐにジェイドの元へ行きなさい。瞬間移動が終わるまでは、眠らないでくださいね」
アズールは最後にAをしっかりと抱きしめた。
「アズール先輩…」
「これは、本来なら…ジェイドがすることなのですがね。代理で申し訳ありません…」
少し照れながらアズールが言った。
「いいえ。…ありがとう、アズール先輩…。元気…出てきました…」
「それは良かった…。僕も、コロシアムで見守りますから…」
「はい…」
Aはアズールから離れた。
アズールが笑顔でもう一度Aの頭をポンポン撫でた。
「Aさんが負けるなんて、あり得ません。僕の計算上、勝算しか算出されなかったので、安心してくださいね」
「分かりました」
アズールはうなずいて部屋を出て行った。
そして。
午後4時。
コロシアムの観客席には、生徒がたくさん集まっていた。
コロシアムにはAとオスカーが対峙している。
その間に学園長が立つ。
「只今より、オクタヴィネル寮の寮長の座をかけた決闘を始める。時間は無制限。魔法のみ使用可能。暴力行為が認められた場合は即時負けとなります。場外の地面に足を着いた場合も負けとなります。また、本人から降参した場合と、私が再起不能と判断した場合、その生徒は負けとなります。良いですね？……二人とも、質問は？」
「ありません」
オスカーが即答する。
「……大丈夫です…」
「そうですか。両者、健闘を祈ります」
そう言うと、学園長が数歩後ろに下がった。
Aとオスカーはお互いの目を見ている。
「始めっ！」
学園長の声がかかった。
しかし、二人とも全く動かない。
お互い出方を探っている。
観客席からはざわめきが聞こえる。
動かないこと5分。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
