オスカー・フォード 〜1〜 ページ1
オスカーが２年生達に絡まれている。
「そんな大きな声で騒いだら、周りの人達に迷惑だと思いませんか？皆さん食事中なんですから」
オスカーが冷静な顔をして２年生に言い返す。
「はぁ？ここはいつも俺たちが座ってる席なんだよっ！後輩が先輩に席を譲るのは当然だろっ！」
「この食堂が指定席だと聞いた覚えはありません。僕がどの席に座ろうと自由なはずです。他にたくさん席が空いているのですから、そちらで食べて頂けませんか？」
「んだとぉっ！」
一人の２年生がオスカーに掴みかかった。
そしてオスカーの顔面めがけて殴りかかる。
「やめなさいっ！」
Aが咄嗟に席から立ち上がった。
「うっ…。なっ…なんだっ…」
殴りかかった２年生の動きが突然止まった。
「かっ…身体が…、動かねぇっ」
「A？」
セナがAに聞く。
「ううん。私、まだ魔法使ってない…」
Aがセナに振り向いて答えた。
〜スっ…スミスさんっ…〜
一連の騒ぎに恐怖したアンナは隣に座るセナにしがみついていた。
セナはアンナをしっかりと抱き寄せている。
〜な…、なるほど…〜
こんな騒ぎの中、Aはセナとアンナが良い感じになっていく予感を感じていた。
〜この平和を守るのも、寮長の仕事っ〜
２年生の動きが止まった事も気になる。
Aは急いでオスカーの元へ歩いた。
「朝から何を騒いでいるんですかっ」
「りょ…寮長っ…」
Aの存在感はそんなに薄いのか。
食堂で騒ぎになることがやけに多い。
しかも大抵はAがいた事に気づかれていない。
動きが止まった２年生の仲間たちが焦る。
「フォード君…」
次にAはオスカーを見る。
オスカーは殴りかかってきた２年生の目をジッと見たままだ。
「フォード君。今すぐに魔法を解除しなさい。寮長命令です」
「はい。寮長」
オスカーはすんなり命令を聞き入れ、目を閉じた。
すると、動きが止まっていた２年生がガクンと床に膝をついた。
「僕の魔法だと良く気づきましたね、寮長」
「私を、馬鹿にしているのですか？」
「いいえ。さすが寮長だと思っただけです。僕は寮長を褒めただけですよ」
「寮長に向かってその口の聞き方、感心しませんね」
「そうですか。申し訳ありませんでした。寮長」
そう言って、オスカーはまた席に座った。
絶対に申し訳ないと思っていない。
何の感情も伝わってこない口調だ。
「はぁ。今の騒ぎは入学翌日という事もあるので、どちらにも処分はしません」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月23日 21時
