珊瑚の海での一週間 フォード家編 〜9〜 ページ9
お父さんが足を巻き付けジェイドを床に叩きつけた。
「うっ…」
護身術のお陰で受け身は取れたが、威力が凄すぎて全身が痺れた。
しばらく呼吸も出来ない。
「ジェ…イド……」
絞め上げられながらも、Aが苦しそうにジェイドを見る。
「A。石の場所を教えなさい」
「し…らな…い…」
Aが涙目でお父さんに言う。
ジェイドは気合いを入れて立ち上がる。
「A…っ、魔法を使えっ…」
息苦しそうにジェイドがAに言った。
Aはほとんど動かす事が出来ない頭で小さく首を振った。
悲しみの顔で目を瞑り、涙が頬を伝った。
「余計な口を挟むなっ」
お父さんの足が伸びてくる。
ジェイドは絡みつかれるギリギリの所で後に下がる。
「このままではAが死にますよっ？」
「黙れ！」
一気に何本もの足がジェイドを襲う。
ジェイドは慎重に動きを読み、避けていく。
「死んだら、また石で生まれ変わればいいだろう？」
隠していた残りの足でお父さんはジェイドの尾ビレを掴んだ。
ボキボキッ…
「ぐあぁぁぁっ……」
嫌な音がした。
お父さんに思い切り絞めつけられたジェイドの尾ビレが折れた。
「っ！」
それを見たAが涙目で目を見開く。
お父さんの部屋の物が宙に浮く。
「これがマリアの魔力か？気味が悪い」
尾ビレが折れたのを確認したお父さんはジェイドから足を離す。
「マリアの魔力があるならば、石の在り処も分かるはずだ。言え。どこに隠した？」
「…っはあっ…、っはあっ……、本当に……知らないのっ……」
Aの首に巻き付けた足の力をお父さんは少しだけ緩めた。
ジェイドはその隙を見逃さなかった。
尾ビレが折れていようと、生きていれば何とかなる精神で、ジェイドは物凄い速さでAの首に巻き付いたお父さん足に噛み付いた。
「うぐっーっ！」
お父さんが悲鳴をあげる。
ジェイドは離さない。
あまりの痛みにお父さんの足がAの首から離れた。
その瞬間を狙っていたジェイドが、右手を大きく左から右に一直線を描くように動かした。
メリメリメリメリ…
「な、なんだっ」
お父さんの足元の床から蔦が大量に生えて足に絡みついていく。
それに気を取られているお父さんのAの身体を絞めつけている足にジェイドが噛み付いた。
「うぐぐっ！」
また痛みに耐えられずお父さんの足がAの身体から緩む。
そしてその足にも蔦が絡みついた。
お父さんは全ての足を蔦に絡み付けられてしまった。
珊瑚の海での一週間 フォード家編 〜10〜→←珊瑚の海での一週間 フォード家編 〜8〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月4日 9時
