珊瑚の海での一週間 街の買い物編 〜1〜 ページ42
翌日。
朝食を済ませた四人は、街へ出掛けた。
「すっごく久しぶりです！」
「僕も何年ぶりでしょうか。でも、あまり街並みは変わっていませんね」
ナイトレイブンカレッジの隣街の様に、ジェイドの家から少し離れた所に大きな街があった。
家々はもちろん、色々な店もある。
レストランやマルシェ、人魚は服を着る習慣がないので服屋では無く、主に女性向けの飾り物を扱う店が多い。
その他にも本屋、楽器屋、食器屋、家具屋など、インテリア雑貨も取り扱う店もあった。
「なんだかワクワクしてきました！」
「んふふっ。Aちゃんは何か欲しい物はあるの？」
ママがAに聞いた。
「昨日ママから髪飾りをプレゼントしてもらったし、特にこれと言って目的の欲しい物は無い…かなぁ…」
「ふふふ。見ているだけでも楽しいですね」
「何か気になる店があれば入ってみよう」
パパがジェイドとAの肩に手を乗せた。
みんなで色々な店を見て回った。
その中で、ジェイドがある食器屋で足を止めた。
「おや。これは面白い。ここは珊瑚の海だというのに、ティーポットとティーカップが売っていますよ」
「本当だ。しかも、素敵なデザインですね」
Aがティーポットを見る。
陶器で出来ているようだが、その周りには小さな巻き貝や虹色に輝く小さなホタテの貝殻などがはめ込まれ、全体が枝サンゴの形を作っていた。
「ティーカップも同じデザインですね…。可愛い…」
「あら、素敵じゃな〜い！ジェイド、陸に戻ったら、Aちゃんとこのティーカップでお茶したら、素敵なティータイムが過ごせるんじゃない？」
ママが嬉しそうに言った。
「そうですね…。A、せっかくですからティーポットとティーカップ、お揃いで買って帰りましょう」
「本当ですかっ！」
「ええ。まずは、どんなお茶を淹れましょうかねぇ？」
ふふふ。と嬉しそうにジェイドが笑った。
「んふふっ…。私はこのお皿を5枚、買っていくわ〜」
小さな魚たちが皿の縁に列を成して良さ泳いでいるデザインの皿。
ママが好きそうだった。
「可愛いお皿ですね！」
「Aちゃんの分も合わせて5枚買うから、これからもたくさん家に来てちょうだいね〜」
「はいっ！ありがとう、ママ」
Aは微笑んだ。
「みんな、そろそろお腹空かないかい？近くにとても美味しい海鮮レストランがあるんだ。今日はそこでランチをするのはどうかな？」
パパが提案した。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月4日 9時
