珊瑚の海での一週間 ジェイド編 〜3〜 ページ39
「ジェイド君…ありがとう…」
Aもジェイドを抱きしめた。
そして二人は、星空の下でキスをした。
二人の姿は月明かりに照らされ、キラキラと輝いていた。
「そろそろ、帰りましょうか」
「はい…。ジェイド君。その前に、もう一度、願いを叶える石の場所に行きたいです…」
「そうですね。さよならを言ってから、帰りましょう」
二人は手を繋いで願いを叶える石のあった場所に行った。
「サンゴが…、色褪せてきてる…」
ピンク色をしていた願いを叶える石のサンゴは、先程よりも明らかに褪色していた。
「サンゴも、死んでしまったのですね…」
「石の力で長生きしていたって事？」
「そうかもしれません」
「結局、願いを叶える石って、どのくらい生きていたんだろう…」
「おばあさまも、いつの時代の方か、Aは知らないのでしょう？」
「はい…」
「何百年…千年単位も前になるのでしょうかね…」
「でも、もう…、願いを叶える石はいなくなりました。でも、言い伝えは…この先も語り継がれて行くんですよね？」
「ええ…」
「……フォード家は、私の代で…終わらせます。もう、誰もお父さんみたいに、なって欲しくないです」
「どの道、Aが僕と結婚したら、フォード家の次期当主はいなくなりますけどね…」
「はい。それで良いです。私はフォード家の当主になんて、なりたくありませんから」
Aは岩の隙間を覗き込んだ。
「石さん。私たち、もう、帰りますね。石さんが生まれ変わったら…またどこかで、会えるといいな…。…それまで、……さようなら…」
そう言うAの肩をジェイドが抱き寄せた。
「僕からも…。石さん、あなたのお陰で僕の人生、変えることが出来ました。本当にありがとうございます。Aは僕が一生守っていきますから…。また、会いましょうね…」
サンゴは更に褪色していく。
もう、ほとんど白色に近い。
「A。行きましょう」
「はい」
二人はゆっくりとサンゴから離れていく。
「帰りは僕が全部Aを乗せて帰りましょう。さぁ、乗ってください」
「はいっ。お願いしますっ」
Aが元気よく返事をする。
「おや、行きとは違って随分元気がありますね？」
「あの時は…、ジェイド君があんなにパパと長い時間話してたから…、何かあったのかなって…。少し不安になってたんです…」
「そう言うことだったのですね。Aだってママと女子会しているではないですか」
珊瑚の海での一週間 ジェイド編 〜4〜→←珊瑚の海での一週間 ジェイド編 〜2〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月4日 9時
