珊瑚の海での一週間 リーチ家編 〜3〜 ページ17
夜。
ジェイドは医師に処置をしてもらい、胸に包帯グルグル巻き、尾ビレも包帯グルグル巻き、左手小指も包帯グルグル巻きの擦り傷だらけの人魚になってベッドで眠っていた。
机には痛み止めの薬と傷薬の入った袋が置かれている。
Aはジェイドの眠るベッドに頭を乗せて床に座っていた。
「ジェイド君…。せっかく楽しいウィンターホリデーになるはずだったのに…、ごめんね…」
Aが呟いた。
ジェイドは眠ったままだ。
〜マリアの魔力って…本当に凄いんだ…。あの距離を瞬間移動出来ちゃった…。こんな大怪我に、やったことないけど…治癒魔法も…出来るかな…？〜
そんな事を思いつき、Aは立ち上がった。
そしてジェイドをジッと見つめる。
そして意識を集中させた。
するとジェイドの全身が柔らかい青白い光に包まれた。
〜出来たかな…？〜
既に光は消えている。
Aはジェイドの身体を覗き込んだ。
「擦り傷が…」
深い擦り傷は残っているが、さっきまであった傷の大半が消えていた。
〜加減がわかんないから…、このくらいにしておこう…〜
Aはだんだん眠くなってきた。
それからしばらくして。
「ジェイド、Aちゃん？」
ママがジェイドの様子を見に来た。
「あらあら…。Aちゃん…」
Aは床に座ったまま、ベッドに頭を乗せた状態で眠っていた。
「んふふっ…。疲れたわよね…」
ママがブランケットを持って来てAの肩に掛ける。
「起こして部屋に連れて行った方が良いかしら…」
「パパに…抱き上げてもらって…ベッドに連れて行ってあげてください…」
「あら、ジェイド！起きてたの？」
「ええ。少し前に…。ママ、見て。僕の擦り傷…」
ママがジェイドの身体を見る。
「ほとんど消えているじゃない…？…まさか…Aちゃんが？」
「たぶん…。僕も眠っていたので分かりませんが、傷だけじゃなく、身体の痛みが断然回復しているんです」
「鎮痛剤のせいじゃなくて？」
「この傷の消え具合からすると…、たぶんAの治癒魔法のお陰かと…」
「マリアの魔力？」
「ママ…。Aから教えてもらったのですね」
「さっきね。Aちゃんのお父さんの事も、聞いたわ…」
「そうでしたか…」
「それに、Aちゃんの瞬間移動、凄いわね〜！」
「瞬間移動…？ああ。だから僕はいつの間にか家にいたのですね…」
「これじゃ疲れて当然よ…」
ママは眠っているAの頭を撫でた。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年3月4日 9時
