怪盗たちの恋愛事情。７【天空の難破船 / 黒羽快斗】

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咄嗟に近くにあった柱の影に身を隠した私。

2人の声は小さくてよく聞こえない。



……って私、なにしてんの…
2人の会話を盗み聞きとか悪女でしかない。




もう、帰ろう…と腰を浮かせたとき、
目に入ったもの。





『……えっ？』



蘭が、キッドの背中に…抱きついている。




『……』




開いた口が塞がらないとは正にこの事である。


え……何、どうしよう



体が動かない。





『ッ…』


フッと足の力が抜け、その場にへたり込んだ。


今日の2人の様子がおかしかったのって、
この事だったの…？



快斗は青子の事が好きじゃなくて、蘭の事が…？
蘭も、新一じゃなくてキッドが好き？

じゃあ新一は…？


でもあんなに一途な蘭が、
そんなわけ絶対にありえないし…




頭が混乱して、思わずその場に蹲る。





するとしばらくして、辺りがシンと静まり返った。

…先程まで微かに話し声が聞こえてたのに。





嫌な予感がして、だけど気になって、
思わず顔を上げてみると…




『……！』





蘭とキッドが、互いの顔を寄せ合っていて。





蘭は背伸びをして、キッドはそんな彼女を支えるように蘭の腰に手を添えて…




見なきゃ良かった。

っていうか、来なきゃ良かった。


…思ってた以上に心臓が痛かった。





いつの間にか溢れていた涙が頬を伝って
零れ落ちそうになった時。




突然、エレベーターが開いた。


そしてその中から出てきたのは新一と園子の2人。





「！！
キッド、テメー……ッ！」





「そう…私は探偵ではなく泥棒
泥棒は盗むのが商売

たとえ、それが人の心でもね…」



「えっ？」




蘭の手の甲に唇を落としたキッド。


そんなキッドと蘭の様子に何かを悟った新一は
急いで2人の元へと駆けていく。



…と、その時。




バチリ。



『あ』


「え…」



新一と目が合った。合ってしまった。




「え…A？」


「えっ…！？」


『やば…』




ガクガクと首を動かしてキッドと蘭に視線を移すと、
2人の視線は完全にこちらに向いている。(白目)





『ご、ごめん…！盗み聞きするつもりも、盗み見するつもりもなかっ…たわけじゃないけど、ごめん！！』



こうなったら全力で謝り倒す。




『べ、別に…本当にそんな、』


「…A、」


『…！』




キッド…快斗が私の名を呼んだ。

思わず肩がビクリと震えてしまう。


『…そ、それじゃ…』




…こうなりゃエレベーターまで全力疾走だ。()




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