今日もフラれた。【ピンガ】

１６.酔いが冷める ページ18

･






『でもほんと、任務が無事に終わってよかったあ」




「…そーかよ
つか背中叩くな、爪の傷まだ痛ぇんだから」






あれから数時間、だんだん酔いも回ってきて
夜も深けてきた。




向こう側にいる女なんてもはや関係ない。
…視界に入れないようにしてる((





…よく見たらピンガも飲んでるし。


車運転してきたのに飲んでも良かったのかな







『今回はピンガに手柄を取られちゃったけどまぁ

それもどっかの誰かさんのせいで体中痛いし
声もあんまり出なかったし

仕方ないかなぁ！』





こうやって遠回しに、私に手出したくせに別の女と絡んでる彼を指摘したつもだったんだけど






「そりゃ悪かったな…」




と、彼は珍しく素直。







(お…？)





お酒が入ったせい？





…なんて期待した私が悪かった






「まぁノリノリだった奴に言われたくねぇけどな」




『』




「しかも爪痕付けるくらいに」




『あ”ぁぁぁ』







でっかい声で言うのやめて…
ユウタがすごい目で私を見てる…！





慌ててピンガに物申そうとするも、
当の本人ピンガもユウタの事を見つめていて。







「え、Aさん、まさか昨日……
いやいや、フラれたんですよね？」




『どうなのピンガ』



「振った」



『らしいです』





「いやいや……」







もう振られるのに慣れすぎて、
もはや他人事みたい。







「えー、なに？
フラれたくせにまだまとわりついてんのぉ？」





話を盗み聞きしていた向こう側の女が
嘲笑えように口元に手を当て、私を見てくる。




「私より可愛くないもんねぇ」




無視しよ。




…でも、





『酔いも冷めたわ
…帰る』




この女のせいで胸糞悪いし




金を置き、立ち上がってドアへと向かっていく。







…てかホント、帰りどうすんだろ。









･














「なぁアンタ
ユウタ、だっけ？」




「…、」




「あいつ好きだろ」




「！…っAさんは…」





「誰もAの事なんて言ってねぇけど？
今日はある意味忠告しに来ただけ」





「……ッ、わざわざどうも
そんな貴方も随分と余裕が無いんですね」





「……、」






フッ、と笑ったコーンロウの男は
最後の酒を飲み干すと立ち上がる。






「あと、そこの」



「…！わ、私？」







頬を赤らめた女だったが、
それは一瞬にして崩された。










「てめぇのがよっぽど大した事ねぇだろ
ブス」




「()」







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