今日もフラれた。【ピンガ】

１３.遭遇 ページ15

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『バーボン』



「はい？」





車に乗りこみ、バーボンがエンジンをかけている中

私は会場でのシーンをふと思い出していた。






『ピンガってあの時、わざと私たちの真上にあるシャンデリアを撃ち落としたんだよね』




「そうですね」




『･･･』






自分で聞いておいてショックを受ける。




わざわざこっちのシャンデリアを狙ったのは

“ジンが嫌いだから”
って理由も大体予想できるんだけど




だけど私がいても撃ち落としたってことは
私がそれで巻き添いを食らっても構わないってことだったんだよね、きっと。






『はぁーぁー……』



「……

僕が思うに、彼のあの表情
何か他に違う理由があると感じましたけどね」



『違う理由…？』






彼のあの表情って。どんな表情なの。

ピンガがあの時どこにいたか分かってたのか。






『ま、いいや…帰ろ
私んちまで＿＿』




バーボンの方を振り向こうとしたとき。








『…ん？』






向かいから誰かがこちらに向かって歩いてくる影。




…ちょっと嫌な予感がした。








『…バーボン、早く帰ろうか』



「いやでも前に人が」



『轢け』



「おい」







車のライトに照らされてだんだん見えてきたその姿。




その姿を見た瞬間、白目を向きそうになった。


……そう、そこに居たのは
私が“轢け”なんて言っていい相手じゃなかったのだ。






『ぴ、ピンガ…』




彼は相変わらずの怖い顔で、
とうとう私たちの目の前までやって来ていた。





「…降ります？」




『やめろやめろ』







私のシートベルト外そうとすんな。
そういうとこ空気読まなくていいんだよ





…てかピンガ。
もう帰ったんじゃないの？キュラソーと






「でも待ってるし」




『や、やだ！』






面白おかしそうに私のシートベルトに触れようとしているバーボンの手を抑えると、


バーボンは咄嗟に私の手を払った。






…え、なんで？酷くね？





「あ…すいません
彼が見てるので」




意味わからん。



と、とにかく、
ピンガが待っているので窓を開けた。






『ど、どうしたの？』



「鍵」



『…あ！』






バーボンに渡していた、ピンガの家の鍵。



シートベルトを外して後ろへ身を乗り出し、
服と鍵が入った紙袋を手に取る。






「……」



「キティ。そのドレスでその格好…
目のやり場に困るんですが」



『ごめん』











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