女神様と神様 ページ6
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さらりと身を呈してお姫様を守る王子様のように美しくて。
一瞬だけ見とれてしまう自分がいた。
「…臣さん、あの…」
OM「…あー、カズマ。ごめん、ちょっと待って…」
「いや、あの…」
一緒に写真を撮りたいと約束していたことを思い出して、そう言ってくれたのだと思う。
そんな場合ではないことは、俺も分かっている。
もともと色白なAさんが、青白い顔をして、苦しそうに目を閉じている。
NT「臣、ケンチさんもうすぐ来るから。」
OM「…医務室、向こうでしたっけ?」
NT「臣、いい加減にしろ。」
愛おしそうに、腕の中のAさんを抱き直して、立ち上がろうとする臣さんを、直人さんが厳しい声色で引き止める。
OM「…直人さん、ごめん。こればっかりは譲れない。」
軽々とAさんを抱き上げて、歩き出そうとする臣さんは、やっぱりカッコよくて。
「…俺、ドア開けたりするんでっ!」
NT「カズマ…?」
大好きな姉貴分を傷つけて、許せない気持ちもありながら。
OM「…ありがとう、カズマ。」
ふんわりと微笑む、目の前の臣さんが、どれだけAさんを愛しているのか。
壊れ物を扱うように、優しく簡易ベッドにAさんを横たわらせて、そっとその頬を撫でる手つきで、どれだけAさんを大切に想っているのか。
OM「…大丈夫。大丈夫だから…」
苦しそうに顔を歪めているAさんのこめかみに口付けながら、優しい声でそう言う臣さんから、手に取るように伝わってくる。
OM「…笑えるよな。酷いこと、たくさんしてきたのに…」
「…いや…」
OM「…俺ね、コイツのこと…女神様とか、マリア様みたいな存在だと思ってる。」
「…マリア様…?」
OM「…うん。コイツには、なんでも言えたんだよね。俺の弱いところも、カッコ悪いとこも…全部、受け止めてくれた。」
優しく、Aさんの頭を撫でながら、臣さんは話し続けて。
OM「…真っ白で…柔らかくて…あったかくて…ずっと、ずっと…綺麗なままで…」
臣さんの言葉の途中、ガチャ、と音を立てて開かれた扉の向こうに、ケンチさんが、直人さんと一緒に立っていて。
KC「…ありがとう、登坂。」
優しく微笑んで、臣さんにお礼を伝えたケンチさんは、スッとAさんに寄り添っていて。
OM「…そんな人と結ばれるのも、神様みたいな、できた人間なんだよ。俺じゃない。」
ポン、と肩を叩いて出て行く臣さんは、寂しそうに笑っていた。
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ユキ(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます(*^^*) (2021年9月30日 21時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
rhszh(プロフ) - 更新ありがとうございます!早速読みました!最高です!お誕生日おめでとうケンチさん! (2021年9月30日 0時) (レス) id: e78e4a67b5 (このIDを非表示/違反報告)
きき(プロフ) - にゃんちゅうさんの小説大好きで何回も読んでいます!赤ちゃんも産まれてこれからどうなっていくのか続きが楽しみです! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 1cb6a41e93 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - キャー(/▽\)♪ (2020年9月30日 7時) (レス) id: 5f63e3cc55 (このIDを非表示/違反報告)
きくりん(プロフ) - あらあらケンチさん鋭いですね。啓司さんとケンチさんの中が悪くなりませんように (2020年9月7日 0時) (レス) id: 97f67c1a4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2018年12月16日 0時