醜い自分が浄化されていく ページ11
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「…って、思わず言っちゃったんですけど…出しゃばった真似してすいませんでした…。」
KC「いや、Aもだいぶ救われたと思う。陸、ありがとうな?」
トレーニング中に遭遇した陸から、Aが泣いていたことと、話した内容を聞かされて、なんてことを言ってしまったのだと、後悔ばかりが頭の中を占めていく。
「…あの…俺が言うなって感じかもしれないですけど…Aちゃんも、ケンチさんが大好きで仕方ないから…悲しませたくないって…そう思ってるみたいで…仕事もしたいけど…その…迷ってるっていうか…混乱しちゃったっていうか…その…」
おどおどと、言葉を選びながら続ける陸が、どれだけAのことを想っているのか、痛いほど伝わってくる。
KC「…俺もAにキツく言いすぎたところはあったから。泣かせたのは俺のせいだし…そんな選択させるなって、責めていいよ。」
「…そうじゃなくて…」
KC「…いや、俺のせい。陸にも迷惑かけて悪かったな。」
「…迷惑だなんて、そんな…」
KC「守ってやってよ?アイツの秘密基地。」
「…それは…もちろん…引き受けますけど…」
俺らのためを思って報告してくれた後輩にですら、嫉妬してしまう自分が醜く思えて。
一刻も早く、この話を終わらせたいがために、一方的に陸に伝えて、逃げるようにトレーニングルームを後にした。
イライラが、収まらない。
シャワーを浴びながら、頭を冷やそうとしても、収まらない。
KC「…クソッ!」
いい歳した大人が、思いっきり壁を殴って、声を上げてみても、収まらない。
こんなにも自分は醜い人間なのだと、実感する。
こんな自分が、Aに触れていいのだろうか。
陸みたいな、真っ直ぐに、純粋に、愛して、想い合える奴の方がいいのではないか。
子どもがいるというのに、未だに俺は彼女に相応しくない、と考えてしまう。
余裕のある、大人でいたいのに。
『…けんちゃん…?』
シャワールームから出て、聞こえてきた愛しい声に、ピクリと身体が反応する。
『…スタッフさんから、けんちゃんがいるよって聞いて…もし空いてたら…一緒に帰りたいなって…思って…』
恋したばかりの頃のように、恥ずかしそうに甘えてくれる彼女を見ると、スッと頭の中が整理されていく。
KC「…空いてなくても、一緒に帰る。」
『…お仕事はちゃんとしてくださいね。』
優しく微笑む彼女を見ると、心が浄化されていく気がするから、やっぱり彼女から離れられなくなるんだ。
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ユキ(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます(*^^*) (2021年9月30日 21時) (レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
rhszh(プロフ) - 更新ありがとうございます!早速読みました!最高です!お誕生日おめでとうケンチさん! (2021年9月30日 0時) (レス) id: e78e4a67b5 (このIDを非表示/違反報告)
きき(プロフ) - にゃんちゅうさんの小説大好きで何回も読んでいます!赤ちゃんも産まれてこれからどうなっていくのか続きが楽しみです! (2021年4月9日 0時) (レス) id: 1cb6a41e93 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - キャー(/▽\)♪ (2020年9月30日 7時) (レス) id: 5f63e3cc55 (このIDを非表示/違反報告)
きくりん(プロフ) - あらあらケンチさん鋭いですね。啓司さんとケンチさんの中が悪くなりませんように (2020年9月7日 0時) (レス) id: 97f67c1a4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2018年12月16日 0時