彼のワガママ ページ8
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KC「…生きた心地がしなかった。」
『…ごめんなさい…』
緊張から解き放たれた後の疲労感と、貧血とで、目眩がして、倒れてしまった夜。
大事をとって入院することになった。
KC「ランペのみんなも心配してたよ。」
『あ…連絡しなきゃ…』
ベッドサイドに置かれた携帯に手を伸ばそうとすれば、ケンチさんの大きな手が重なる。
KC「…代表してカズマに連絡しておいた。もう大丈夫だから。」
ぽんぽん、と頭を優しく撫でられて。
KC「なんにも気にしないで、今日はゆっくり眠ろう？」
眉を下げて、そう言うケンチさんに、どれほどの心配をかけたのか、痛いほど感じる。
『…けんちゃん…ごめんなさい…』
KC「…いい。謝って欲しいわけじゃないよ。」
『…でも…』
俯いて、こんなにも心配をかけてばっかりで申し訳ない気持ちを、どうにか伝えたかった。
それだけだったのに。
KC「…何を、そんなに謝りたいの？」
いつもより、少し低い声で、そう聞くケンチさんに、ドキリとする。
ギシッと音を立てて、ベッドに座るケンチさんを見上げれば。
KC「…何を、謝ろうとしてる？」
美しく微笑んでいながらも、どこか冷たい視線に、ケンチさんが怒っているのだと、分かる。
『…ごめん、なさい…』
KC「…謝って、済むことなの？」
『そうじゃなくて…』
KC「じゃあ、聞きたくない。俺じゃない男とのこと、アレコレ思い浮かべて、謝られたって、いい気分しないよ。」
私の言葉を遮って、まくし立てるように言ったケンチさんは、ふぅと溜息を吐いて、大きな腕で私を引き寄せて、胸に押し当てるように抱きしめる。
KC「…このまま、Aのこと、ずっと閉じ込めておきたい…」
頭を、頬を撫でる手に、力が込められて、視線が合わせられる。
KC「…他の男のことなんて見てないで…俺のことだけ考えててよ…」
少しだけ潤んだ瞳に。
少しだけ震えた言葉に。
彼の本心が見えた気がする。
その瞳には、もう怒りなんて見えなくて。
そっと、その頬に手を沿わせて、見つめ合えば。
『…けんちゃんも、ずっとずっと私だけ見てて…？』
唇を重ね合わせようとした時。
『…あ…』
その存在を知らせるように、ポコンとお腹を蹴られる感覚がした。
KC「…チビも見てくれってさ(笑)」
『もー…女の子だったら、絶対けんちゃんのこと取り合うことになりそう…』
KC「男だったら、Aの取り合いになるなー。」
クスリと笑い合って、手を繋いで横になる。
幸せな夜だった。
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ユキ(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます(*^^*) (2021年9月30日 21時) (
レス) id: e86d7cf610 (このIDを非表示/違反報告)
rhszh(プロフ) - 更新ありがとうございます！早速読みました！最高です！お誕生日おめでとうケンチさん！ (2021年9月30日 0時) (レス) id: e78e4a67b5 (このIDを非表示/違反報告)
きき(プロフ) - にゃんちゅうさんの小説大好きで何回も読んでいます！赤ちゃんも産まれてこれからどうなっていくのか続きが楽しみです！ (2021年4月9日 0時) (レス) id: 1cb6a41e93 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - キャー(／▽＼)♪ (2020年9月30日 7時) (レス) id: 5f63e3cc55 (このIDを非表示/違反報告)
きくりん(プロフ) - あらあらケンチさん鋭いですね。啓司さんとケンチさんの中が悪くなりませんように (2020年9月7日 0時) (レス) id: 97f67c1a4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃんちゅう
| 作成日時：2018年12月16日 0時
