心に刻む ページ47
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ファイナルの初日を終え、諸々の撮影を終えて、空っぽになって、明日の準備が始められた会場に戻ってきた。
客席を整えたり、新たに椅子を追加したり。
掃除をしたり、機材の確認をしたり。
慌ただしく動き回るスタッフさんの邪魔にならないように、ステージの端に腰掛ける。
1日が、終わってしまった。
この場所から離れることを決めたのは自分自身なのに、ここで声援を浴びたことを思い出すと、離れたくない気持ちが募っていく。
『…明日で、終わり。』
ポツリ、と呟いて、明日のMCで話すことを考え始める。
辞めることを。
表舞台から去ることを。
伝えなくてはいけない。
スタッフさんが用意してくれていた氷嚢を、痛む足首に当てるために、ステージの上に、左脚を乗せる。
明日は、ずっと憧れていたEXILEが、この場所に立つ。
この世界に導いてくれたアツシくんも。
セカンドに導いてくれた将ちゃんも。
この場所で、EXILEとして、歌い、踊る。
その場に、もちろん私の姿はない。
みんなの新たな旅路に、私はいないのだ。
SH「…見つけた。」
『…将ちゃん…』
SH「楽屋にいないから、探したよ。」
将ちゃんは、隣に腰を下ろし、豪快にあぐらをかいて座る。
『…刻んでおこうと思って。』
SH「…心に?」
『そう。将ちゃんと、みんなと…ここで過ごしたこと…一生忘れないように…。将ちゃんも刻んで!(笑)』
笑いながら、将ちゃんの胸のあたりをポンと叩くと、悲しそうに微笑む将ちゃんと目が合って。
SH「…どんなに辛くても…一緒に歌い続けてくれて、ありがとう…」
そう言ってくれたから、涙がこぼれ落ちていく。
SH「Aがいてくれて、本当に良かった。本当に最高だった。本当に幸せだった。本当に…本当に…寂しいよ…」
将ちゃんの涙声に、何も言えなくなって、ステージで2人、めそめそと泣き続けていると。
KC「…まだ終わってないでしょ?」
頭の上に、優しい手が乗る。
SH「…そうですけど…っ、あと1日しかない…っ」
KC「1日残されてる。まだ終わりじゃない。」
メイクも落として、素に戻ったケンチさんが、何度も終わってない、と。
何度も何度も、将ちゃんに言い聞かせる。
KC「A。ちゃんと、許可もらってきたから。」
その様子を他人事のように眺めていると、急にケンチさんがこちらを向いて、左手を掬い上げられる。
KC「…明日、忘れずにはめてきて?」
そっと、薬指を撫でて、そう言われた。
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moe(プロフ) - いつもRayで寂しくなるので泣きそうになります笑笑 なのでこの小説でも泣きながらRay聞きながらで大忙しでした笑笑 (2018年6月7日 23時) (レス) id: 45fcd2e128 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - ユキさん» 三代目、テレビ出まくってますね〜!アルバム関連で、ちょいとヒロインちゃんと三代目さんを絡ませようと企み中なので、お楽しみに…。EXILEもアルバム発売に合わせて、テレビ出て欲しいですね( ; ; )!!切実に!! (2018年6月7日 23時) (レス) id: 1961de09fc (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - moeさん» LastGoodbyeを聴きながら読むと、どよーん( ; ; )とするかもしれないので、注意です(笑)また次の約束があるよ!と言ってくれているようなRay…セカンドさんたちの笑顔と合わせて、大好きな曲です( ; ; )! (2018年6月7日 23時) (レス) id: 1961de09fc (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 今日三代目アルバム出ましたね今月はTV出演増えて嬉しいですねまたEXILEメンバーのTV出演増えて欲しいですね(〃艸〃) (2018年6月6日 11時) (レス) id: 7bd6b3fcc4 (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - 次読むときはLastGoodbye聴きながら読んでみますね! ライブのニコニコ笑顔思い出したら泣けますよね…(ToT) (2018年6月6日 0時) (レス) id: 45fcd2e128 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2017年12月26日 1時