Granatapfel … ＊6

アカシア ページ5

.



『…大人の、秘密の恋…かぁ…』
SH「…何、急に(笑)」

来年発売される新曲の撮影が行われた。

ボーカル3人での撮影で、ねっさんのソロショットの撮影中、将ちゃんと今回の曲のテーマについて話す。

『んー…なんかさ…秘密の恋って言われると…悪いことしてるみたいなイメージだな…って。』
SH「…うーん、確かに…」
『…元々はさ、愛の告白に使われたお花なんでしょ？それなら…秘密にする必要なんて、ないんじゃないかなって…』
SH「…守りたかったんじゃないかな…？」
『…守る？』

「Aちゃーん！撮影お願いしまーす！」

SH「ほら、行ってらっしゃい！」

タイミング良く、スタッフさんから声をかけられ、将ちゃんに背中を押されて、撮影に向かった。

薄黄色のワンピースに身を包み、キラキラとしたパウダーを全身に叩かれる。

カメラの前に立ち、表情を、切り替える。


--------

NS「何話してたの？」
SH「…んー？アカシアの花言葉。」
NS「秘密の、恋…だっけ？」
SH「…秘密にする必要なんて、なかったんじゃないかって。」

先程まで、可愛らしく、優しく微笑んでいた彼女が、カメラの前に立つと、途端に色気を纏った“お姉さん”に変わる。

根っからの“女優”なのだと、感じる瞬間でもある。

NS「…将吉兄さんは、何て答えたのさ。」
SH「…守りたかったんじゃないか、って…」
NS「…なるほどね。」

ケンチさんの隣で微笑む彼女は、より可愛らしくて、より美しくて。

身近にいる、俺らだからこそ、知ることのできる彼女の魅力でもあって。


その魅力は、他の誰にも教えたくなくて。

他の誰かに話したら、失ってしまうような気がして。


それならば。


SH「…秘密のままにして、その恋を、永遠に見届けたいとか…願ってたり、するんだけど…ね。」



その恋を、失わないように。

秘密を胸に、生きていくこともある。



目の前で、俯きながらも、美しく微笑む彼女は、それを知っているはずで。


NS「…秘密の恋、なんて…A、身を持って体験してるだろうに…ね。」
SH「…それが、どんなに苦しいことかも…知ってるから…」

だからこそ。

純粋に、正々堂々と恋をしたいと、願っているのかもしれない。


NS「…結婚のこと…公表するにしても、しないにしても…悪い方向にいかないように…俺らでしっかり、守ってあげなくちゃね。」



彼女の恋と、笑顔を守るためにも。

もう少しだけ、秘密の恋を…

クリスマスイブの日に→←たちばな書店 Fan's SNS

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す