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「そしたら、ホテルで合流な?遅くなるようだったら連絡する。」
『うん…。』

彼と共に日本に降り立ち、隣同士で座った座席で、手を繋ぎながら、耳元で、そう囁かれる。

「…Aがいたから、今シーズンも最後まで頑張れた。代表でブラジルまで行けるご褒美までついてきた。ありがとうな?」
『…ううん。私は何も…』
「いてくれるだけで元気出るもん。それだけで感謝。」

優しく、そう言う彼に、どれだけ大切に思われてるか、ひしひしと感じている。

「…今年はいつも以上に会えへんくなるけど、頑張ってくるわ。」
『…うん。応援してる。』

サッカー選手として、夢の舞台に向かう彼を応援する気持ちは、少しも変わってない。

けれど。

「…ライブは?いつ行くの?」
『…これから、先輩に連絡取って決める予定。』
「ふぅん…」

彼自身を、心の底から想えなくなってることに気付いてしまったから。

彼以外に、触れたいと思う人が、現れてしまったから。

「…それじゃあ、ここで。」
『…うん。気をつけて。』


この扉を出たら、別々の道を行く。

どんなに酷い女になっても。

もう二度と、彼とは会わない。






そう決めていた。








「…なぁ、コレ。」


離れた手が、少しだけポケットの中を彷徨い、再び私の手に触れると。

指先に、ひんやりとするものを感じた。


「…結婚指輪は、Aが…世界中に自慢したくなるような…もっと豪華なのにしよう?」


するりと嵌められたソレは、サイズもぴったりで。


「…W杯終わって、帰ってきたら…結婚しよう?」


左手をぼんやりと見つめて、動けないでいた私を、彼は覗き込むようにキスをした。



漠然と、彼と一緒になるんだと思っていた、あの頃とは違って、心が、追いついていかない。


【…好きだよ。】

【Aさんがそばに居てくれたら、それだけで頑張れる。】


【俺がいるよ。】

【ずっと一緒にいる。離れない。】


こんな時だって、思い出すのは、健太の声で。

キスも、繋いだ手の温もりも、健太に重ねてしまう。




そっと離れた彼を見上げると、照れ臭そうに笑って、空港のスタッフさんに連れられて、扉を抜けていく。





その背中を見送るなり、イヤホンを耳にはめる。




懐かしい音に耳を傾けながら、バスに乗り込み、自宅へと向かった。

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ゆあ - 切ないです、、 (2019年6月18日 0時) (レス) id: 0eaf3d3c12 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - ゆあさん» めちゃくちゃお久しぶりの更新になってしまってすみません!ちょっとずつ進めてますので、またどうぞいらしてください♪ (2019年6月10日 23時) (レス) id: 8820865f3c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ - めちゃくちゃ久しぶりです! (2019年6月10日 0時) (レス) id: 0eaf3d3c12 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - ゆあさん» ちょこっとずつの更新ではありますが…どうぞお楽しみください☆ (2019年5月15日 22時) (レス) id: 8820865f3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - ゆずさん» リキヤさんにはやっぱり健太さんを締めていただかないと…!そして、突然のチャラいっちゃんに変貌ですみません(笑)いっちゃんに荒らしてもらいますよ〜! (2019年5月15日 22時) (レス) id: 8820865f3c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2019年2月9日 1時

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