31 ページ31
.
山彰「で？お前は折れてノコノコ引き返して？打ち上げバックれたAさんと二度と連絡も取れなくなってしまったわけだ？」
健太「…そうだけど？！そうですけど？！」
リキヤ「…お前なぁ…あんだけ盛大に送り出してやったのに…」
あの日のライブのあと、Aさんは逃げるようにして会場を後にした。
連絡先も、聞けないまま。
健太「…俺は、伝えたよ…何度も好きだって言ったし…その…」
キスだってした。
なのに。
リキヤ「まー、押してダメなら引いてみろって言葉もあるくらいだしな。」
健太「それっす。けんた引いてみてます。」
「その間にAさん、ドイツに飛んでるみたいですけどね。」
ふらり、と。
物音も立てずに俺らのところにやってきて、そう告げたのはいっちゃんで。
山彰「…何それ。何でいっちゃんがそんなこと知っとんの？」
樹「…俺、あの日…Aさんに告白しました。」
山彰「は？！」
樹「…告白して、押し倒して、キスもした。」
リキヤ「…お前なぁ…」
樹「…Aさん、泣いてた。」
山彰「…いや、お前が泣かせたんだろうが。」
樹「…健太さんの名前呼んで…泣いてた。」
顔を歪めながらも、しっかりとこちらを見つめるいっちゃんの瞳を、見つめ返す。
樹「…あの人、最初っから健太さんのことしか見てないですよ。」
山彰「じゃあお前は突っかかるんじゃないよ…ったく。」
樹「…あの人は、あの人で色々考えてて…いっぱいいっぱいになってる。1回リセットしてくるって…昨日たまたま会った時に…」
健太「どこで？！どこで会った？！」
樹「え？あ…っと…渋谷ですけど…でも、今日の朝の便で行くって…」
いっちゃんに掴みかかった勢いそのままに、この部屋から飛び出そうとしたけれど、もう手遅れだと告げられて、肩を落とす。
健太「…リキヤさん、ドイツ行きたい…」
リキヤ「バカタレ。」
山彰「行ったところで連絡先も何も知らないんだから会いようがないでしょうが。」
健太「そうだけど…」
どうしようもなく、Aさんに会いたい。
樹「…あんまり言いたくなかったですけど、Aさん、帰ってきたら、健太さんに会いたいって…そう言ってましたよ。」
彼女も同じ気持ちだったと知って、一気に舞い上がってしまう俺はバカだと思う。
遠く離れた海外の地で、Aさんがどんな思いをしているかなんて、まるで考えてもいなかったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 665人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆあ - 切ないです、、 (2019年6月18日 0時) (
レス) id: 0eaf3d3c12 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - ゆあさん» めちゃくちゃお久しぶりの更新になってしまってすみません！ちょっとずつ進めてますので、またどうぞいらしてください♪ (2019年6月10日 23時) (レス) id: 8820865f3c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ - めちゃくちゃ久しぶりです！ (2019年6月10日 0時) (レス) id: 0eaf3d3c12 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - ゆあさん» ちょこっとずつの更新ではありますが…どうぞお楽しみください☆ (2019年5月15日 22時) (レス) id: 8820865f3c (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - ゆずさん» リキヤさんにはやっぱり健太さんを締めていただかないと…！そして、突然のチャラいっちゃんに変貌ですみません（笑）いっちゃんに荒らしてもらいますよ〜！ (2019年5月15日 22時) (レス) id: 8820865f3c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にゃんちゅう
| 作成日時：2019年2月9日 1時
