争いの始まり ページ10
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−−−無名街
『…九十九さん、これって…』
「…その時が来たら、返せるように…お前に、持っていてほしい。」
九十九と2人、無理矢理に連れてこられた無名街で、コンテナに囲まれながら九十九から手渡されたのは、見覚えのある鍵だった。
「…時の流れとはあまりに残酷な物。」
グッと、その鍵を握りしめたとき、突然聞こえた声に、九十九と振り返ると、黒尽くめの劉が佇んでいた。
「ずっと、眠ってたんですよね。…1つの終焉を見せてあげますよ。」
何も答えない九十九さんに、劉はふわりと微笑むと、歩き始めた。
煙草を吸いながら後を追う九十九と、はぐれないように一緒に歩き出すと、ふっと私たち以外の気配を感じては、消えることを繰り返していた。
その度に劉はニヤリと笑い、その異様な空気に、怖くなったAは、俯き、九十九の服をキュッと掴んだ。
広場のような場所にたどり着くと、目の前のコンテナの上には、カーキ色のジャケットに身を包んだ面々が佇んでいた。
これが、RUDO BOYSか…と感じていると、劉が嬉しそうな声色で話し出す。
「…無名街はよく燃えますね!」
「やっぱり、お前らか…。」
中心にいたリーダー格の男性がコンテナから降りてくると、劉に向かって歩きながらも、強い視線で話し始める。
「昨日の火事で、俺たちの家族が何人も死んだ。…償ってもらうぞ。」
後に続いて、身軽にぴょんぴょんとコンテナから降りてくる彼らに囲まれると、背後からガチャガチャとパイプ同士がぶつかるような音が鳴り響いた。
振り返るとパイプや木材等の武器を手にした黒尽くめの男たちが、劉や九十九を中心に集まり出した。
目の前のRUDOの面々が、闘おうと一歩踏み出したとき、コンテナの上からカーキ色が転がり落ちてくる。
見上げた先には、黒の男たちがニヤニヤと佇んでいた。
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麗 - もう更新はされないのでしょうか? 最初から一気に読ませてもらいましたがとても続きが気になります。更新されるの待っていますね。 (2019年5月12日 20時) (レス) id: 8656a872ff (このIDを非表示/違反報告)
青龍 葵(プロフ) - 更新されないんでしょうか? (2017年12月24日 3時) (レス) id: 7069733e86 (このIDを非表示/違反報告)
雨宮夢叶(プロフ) - 続きが楽しみです!更新頑張ってください! (2017年8月6日 16時) (レス) id: 556da1689c (このIDを非表示/違反報告)
白濱ゆあ(プロフ) - 更新楽しみにしています!!!頑張ってください(*^^*) (2017年6月12日 3時) (レス) id: 0c3fdd77dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2017年3月13日 0時