検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:43,372 hit

Cobra ページ6

.



幼い頃から隣にいた彼女が、自分の側から離れていくなんて、考えたこともなかった。

一生、隣にいて、俺が、こいつを守るんだ、と。

信じて疑わなかった。





小柄で可愛らしい彼女のことだ。
時には何も知らない男が近づいてくることだってあった。
そんな時には、俺が後ろから睨みをきかせ、牙を剥き、彼女に触れさせないように、大切に、大切に守り続けていた。

彼女が、あの人に出会うまでは。




「なぁ、一緒に行こうって!」
『えー…だって、怖いもん…。』
「だーいじょうぶだって!!俺がずっと隣にいてやるから!」
『…そういうことじゃなくて…』

ヤマトとともに入った、憧れのムゲン。
お世話になってる先輩たちに、大切なコイツを紹介したい一心で、溜まり場に連れて行こうと必死だった。

「いいじゃん。久しぶりにコブラたちと遊んできなよ。」

隣で頬杖をつきながらニヤリと笑ったナオミのアシストもあり、今日はAとともにムゲンの溜まり場へと向かった。

「ちわーっす!今日ちょっと、ツレがいるんですけど…いいっすか?」
「コブラが溺愛してしょうがないんですよー!」
「お!彼女かー?」

ヤマトや、太田さんと古西さんに茶化されながらも、Aの手を引いて、龍也さんと琥珀さんの前に進んだ。

「琥珀さん、龍也さん。こいつ、俺の幼馴染のAです。」
『……こ、はく…さん……』

チラリとこちらに視線を向けた琥珀さんが、驚いたように目を見開き、それから、穏やかに微笑んだ。

見たこともないような、琥珀さんの優しい表情に、頬を赤く染めながら、彼の名前を口にする彼女に、焦りを覚えた。




「そうか…お前がコブラの…」
『…あの、前に話した幼馴染で…』

目も合わせられずに、真っ赤な顔で、辿々しく話す彼女は、見たこともない彼女だった。


「…連れてきたの、失敗だったな、コブラ。」
「うるせーな…。」


いつの間にか離れた手は、今はまだ、誰のものとも繋がれていない。



彼女の頭に、優しく触れる、その大きな手が。
彼女のものと繋がれるのは時間の問題かもしれない。

それでも、俺は諦めきれない。


その小さな手が、いつまでも俺のものから離れないように。
その大きな瞳が、俺から離れないように。



「…A!帰るぞ!」


幼い俺は、その手を必死に掴むことしかできなかった。

▽→←Bernstein



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
83人がお気に入り
設定タグ:HiGH&LOW , ムゲン , 山王連合会
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にゃんちゅう(プロフ) - 白濱ゆあさん» 嬉しいコメント、ありがとうございます!のろのろ更新ですが…ぼちぼちTHE MOVIEの方も公開できそうです!ので、もう少々お待ちくださいね〜! (2017年3月12日 2時) (レス) id: 1961de09fc (このIDを非表示/違反報告)
白濱ゆあ(プロフ) - このお話すごく好きです!!!次の更新も楽しみにしてます!!THE MOVIE の方も!楽しみに待ってます!!作者さんのペースで頑張ってください!! (2017年3月7日 14時) (レス) id: 0c3fdd77dd (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - にゃんちゅうさん» はい!頑張ってください! (2017年2月18日 20時) (レス) id: cb161fd6de (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます!やはり、コブラ大人気ですね(^^)!琥珀さん落ち予定でしたが…コブラ落ちバージョンも考えてみますね! (2017年2月18日 19時) (レス) id: 1961de09fc (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - るるさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!るるさんのパワーの源となれるように、続きも頑張りますー! (2017年2月18日 19時) (レス) id: 1961de09fc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2017年1月23日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。