Cobra ページ6
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幼い頃から隣にいた彼女が、自分の側から離れていくなんて、考えたこともなかった。
一生、隣にいて、俺が、こいつを守るんだ、と。
信じて疑わなかった。
小柄で可愛らしい彼女のことだ。
時には何も知らない男が近づいてくることだってあった。
そんな時には、俺が後ろから睨みをきかせ、牙を剥き、彼女に触れさせないように、大切に、大切に守り続けていた。
彼女が、あの人に出会うまでは。
「なぁ、一緒に行こうって!」
『えー…だって、怖いもん…。』
「だーいじょうぶだって!!俺がずっと隣にいてやるから!」
『…そういうことじゃなくて…』
ヤマトとともに入った、憧れのムゲン。
お世話になってる先輩たちに、大切なコイツを紹介したい一心で、溜まり場に連れて行こうと必死だった。
「いいじゃん。久しぶりにコブラたちと遊んできなよ。」
隣で頬杖をつきながらニヤリと笑ったナオミのアシストもあり、今日はAとともにムゲンの溜まり場へと向かった。
「ちわーっす!今日ちょっと、ツレがいるんですけど…いいっすか?」
「コブラが溺愛してしょうがないんですよー!」
「お!彼女かー?」
ヤマトや、太田さんと古西さんに茶化されながらも、Aの手を引いて、龍也さんと琥珀さんの前に進んだ。
「琥珀さん、龍也さん。こいつ、俺の幼馴染のAです。」
『……こ、はく…さん……』
チラリとこちらに視線を向けた琥珀さんが、驚いたように目を見開き、それから、穏やかに微笑んだ。
見たこともないような、琥珀さんの優しい表情に、頬を赤く染めながら、彼の名前を口にする彼女に、焦りを覚えた。
「そうか…お前がコブラの…」
『…あの、前に話した幼馴染で…』
目も合わせられずに、真っ赤な顔で、辿々しく話す彼女は、見たこともない彼女だった。
「…連れてきたの、失敗だったな、コブラ。」
「うるせーな…。」
いつの間にか離れた手は、今はまだ、誰のものとも繋がれていない。
彼女の頭に、優しく触れる、その大きな手が。
彼女のものと繋がれるのは時間の問題かもしれない。
それでも、俺は諦めきれない。
その小さな手が、いつまでも俺のものから離れないように。
その大きな瞳が、俺から離れないように。
「…A!帰るぞ!」
幼い俺は、その手を必死に掴むことしかできなかった。
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にゃんちゅう(プロフ) - 白濱ゆあさん» 嬉しいコメント、ありがとうございます!のろのろ更新ですが…ぼちぼちTHE MOVIEの方も公開できそうです!ので、もう少々お待ちくださいね〜! (2017年3月12日 2時) (レス) id: 1961de09fc (このIDを非表示/違反報告)
白濱ゆあ(プロフ) - このお話すごく好きです!!!次の更新も楽しみにしてます!!THE MOVIE の方も!楽しみに待ってます!!作者さんのペースで頑張ってください!! (2017年3月7日 14時) (レス) id: 0c3fdd77dd (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - にゃんちゅうさん» はい!頑張ってください! (2017年2月18日 20時) (レス) id: cb161fd6de (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます!やはり、コブラ大人気ですね(^^)!琥珀さん落ち予定でしたが…コブラ落ちバージョンも考えてみますね! (2017年2月18日 19時) (レス) id: 1961de09fc (このIDを非表示/違反報告)
にゃんちゅう(プロフ) - るるさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます!るるさんのパワーの源となれるように、続きも頑張りますー! (2017年2月18日 19時) (レス) id: 1961de09fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2017年1月23日 0時