Ripples 番外編(仮) (ページ48)

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束の間のデートページ48

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樹夜、空いてる?

映画の公開に合わせたイベントが立て込んでいたある日。

朝方にCL特番の出演を終えて、自宅でのんびりと過ごしていたところに連絡が来て。

『もしもし？』

樹「お疲れ。」

思わず電話をかければ、穏やかな低音が耳に響く。

『夜、うち来る？今日何か撮影とか？』

樹「あー、撮影あるけど、早めに終わるから…外でデートしない？」

聞こえた言葉に少し身構えて、反応が遅れてしまう。

樹「あ、や…マネージャー、一緒だから。何なら…翔平とか…や、翔平はCLか…他にも誰か…まこっちゃんとか…」

他のメンバーを集めようとする彼が、珍しく慌てた様子で、思わず笑ってしまった。

『…いいよ。2人で…ううん、2人がいい。』

樹「…うん。」

昔の事件を忘れたわけじゃない。

お互いの心に、トラウマとして大きな傷跡が残っているのも分かっている。

逃げて、投げ出したままの交際発表も、どこかモヤモヤした気持ちを残していて。

そこを、ハッキリさせないと、次には進めない。

そう感じていたのは、お互い様だったのかもしれない。

色んな意見があるのは当たり前で、涼太くんの時も突きつけられた言葉がたくさんある。

それでも、仕事で思いを伝えて、返していく涼太くんは、キラキラして見えた。

怖さは残るけど、自分もそうありたい。

そう思ってしまったから。

『…お待たせ。』

2人して、バケハを被って顔を少しだけ隠して。

樹「…ごめん、チケット買えなくて。」

『全然いいよ！屋台、行こう？』

少し離れたところからランペのマネージャーさんもついてくる中で、少しだけ寄り添って歩く。

アレコレ買って、少しずつ分け合って。

また歩いて。

そうしている中で、夜空に大きな花が咲く。

『…わ…！すごい…！』

ちょっとだけ興奮して、夜空を見上げながら思わず樹の腕に触れれば、樹は腕を私の腰に回して引き寄せて。

樹「…Aと一緒に花火見たいなって、思ってた。」

その言葉に、頭を樹の方に傾ければ。

樹「…明日の朝オムライス食いたい…」

朝の特番をしっかり見ていたようで、ぽそりと呟いた言葉に笑みが溢れる。

『今、それ？笑』

樹「陸さんとイチャイチャすんなし。」

『してないし(笑)』

いじけた様子で話す彼の顔を見上げて。

『いつき♡って書いてあげるね(笑)』

って言えば、呆れたように笑いながらも嬉しそうな彼がいて、幸せだなぁ…って感じる夜だった。