Ripples 番外編(仮) (ページ22)

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役作りじゃなくてページ22

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『…また金髪にしたの？』

お互いにツアーリハをしながらも、少しだけ余裕が出てきた頃。

お互いの体調や仕事に影響がないように、泊まるのはもちろん、会うのも極力控えていた中で、久しぶりに会ったAは、マースみたいに目をまんまるにして、俺の腕に触れながら近寄ってくる。

樹「…ちょっと、仕事で。」

『演技？役作り？』

樹「そ、ドラマ。」

『えー！おめでとう！』

演技の仕事がしたいことも分かってくれていて、自分のことのようにキラキラの笑顔で喜んでくれる。

『え、どんな役か聞いてもいい…？』

悩みながらも、2人きりなのに、こそっと小声で聞いてくる姿も可愛い。

樹「…No. 1ホスト。」

『…え？』

樹「…うそ、クズのホスト役。」

『え？(笑)』

ニヤニヤしながら聞いてくるから、少しだけイラッとしたけど、そんなやりとりも久しぶりだから、嬉しい気持ちが勝る。

樹「相手役の子とイチャイチャしてくるから、ごめんね？」

ヤキモチみたいなのを焼いてほしくて、俺からも仕掛けてみるけれど。

『分かったー。これってさ、大樹ちゃんが今出てるドラマと同じ枠？』

樹「…うん。」

『そっかー、深夜かー。スケジュール的にリアタイできら、リアタイするね！楽しみだなぁ〜！』

どうも今回はアッサリしすぎている。

樹「ねー、Aで練習したい。」

『やだよ(笑)』

樹「役作り。お願い。」

『やーだ。楽しみにしときたいもん！ねー？マースぅ？』

細い腰に手を回して、少しだけ甘い声で、誘うように話してみるものの、するりと抜け出してマースを抱いて頬を寄せる。

その姿も、もちろん可愛い。

可愛いのだけれど。

樹「…キスシーン、練習したい。」

もらったばかりの台本には、そんなシーンはないけれど。

少しだけ、イチャイチャしたくてそう言えば。

『…やだ。』

ばっさり断られて、少しだけ凹む。

ヤキモチ作戦は諦め、その場を離れて、コーヒーでも淹れにキッチンへ向かおうとすれば、背中に愛おしい温もりを感じる。

『…私とするキスは、本気じゃなきゃイヤ…』

ギュッとしがみつきながら、ぽつりと溢した言葉ににやけが止まらなくなる。

樹「…Aと、キスしたい。」

『…私も…樹と、したい。』

振り返って、じっと見つめながら伝えれば。

甘くて、深い口づけが始まる。