HiGH&LOW (ページ10)

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DINER ITOKAN

「急で悪いけど…こいつをうちに入れようと思ってる。」

昼間からITOKANに集合した山王連合会の面々に、ヤマトはチハルを連れ立って、そう紹介した。

「あれ…こいつ、鬼邪高じゃね？」
「はぁーーーーーー？！お前、何言ってんねん！！」

テッツが鬼邪高の生徒だと気付いて指摘すると、ダンは大声でヤマトを責めるように続けた。
あまりの大声に、ナオミが慌てて声のトーンを落とすように声をかけた。
コブラは何も言わず、射るような鋭い目つきで、ただヤマトを見つめ続けていた。
その視線に気付いたテッツは、チハルを店の外へと連れ出した。

「おい！てめぇ…何なんだよ。…ヤマトさんと一体、何があった。」

テッツがチハルに向き合い、そう尋ねた。
チハルが事情を話し始めたとき、配達のために多数の花束を抱えたAが通りがかり、物陰に隠れるようにして、すべての事情を聞いてしまった。

「マジかよ…あの人、すぐ人の揉め事に首突っ込むからな…」

呆れた様子で顔を覆ったテッツに見兼ねて、Aは物陰から姿を現し、驚いた様子のテッツを無視して、強く、抱えた花束たちを握りしめながら、声をかけた。

『…テッツ。』
「Aさん…！」
『…ねぇ…あんたは知らないと思うけど…SWORDはギリギリのところで均衡を保ってるの。でも…ほんの小さなきっかけで、崩れ出すこともあるんだよ。』

頭の中に過るのは、あの日のこと。
虚ろな表情で離れていく、あの人のこと。
未だに眠る、あの人のこと。
どこかに消えた、あの人のこと。

『コブラは…もう、二度と無駄な血を流したくない…そう思ってるんだよ…』

泣きそうになりながら、震えた声でチハルに伝えた言葉は、自分にも何度も何度も言い聞かせてきた言葉だった。

「…Aさん…」
『…急に邪魔してごめん…配達、行くね…』

涙が溢れそうになり、逃げるように配達へと向かった。