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「責任取れっつってもなぁ…はぁ…」
「妊娠させた?」
ヤマトがため息をつきながら立ち上がると、自宅へとつながる階段の陰から母親に声をかけられ、慌ててそちらに目をやった。
「ば…!向こう行っとけよ…!!」
「最低ー!…ちょっとあんた。山王入りたいんだって?」
「はいっ!」
「だったら、こいつに頼んでもムーダー。頼むんだったら、コブラに頼みなー。」
「余計なこと言うなよ…!!」
「…コブラ…?」
「こいつ。」
ヤマトの母親は、近くに飾られた写真立てを指差して示した。
「この…コブラツイストしてる人ですか?」
「そうよ〜。」
チハルは写真立てを覗き込みながら、ヤマトの母親へと質問した。
ヤマトは呆れた様子で母親を自宅へ帰るよう、手で追い払い、観念したようにチハルの隣で写真を眺め、話し始めた。
「山王連合会の頭だ。」
「頭?…でも、何でコブラツイスト…?」
「昔…コブラツイストだけで、10人やっつけたことがあってな…」
「それで…コブラ…」
「奴とはガキの頃から一緒だ。」
嬉しそうな笑顔で語るヤマトにつられ、自然と笑顔になったチハルは、写真に一緒に写っていた、もう1人の男性についても話を聞こうと、質問を続けた。
「じゃあ、この人は?」
「そいつは…ノボル。」
「この人も山王連合会?」
「…まぁな。」
ヤマトは写真をジッと見つめながら、曖昧に答え、ため息をついて、写真立てから離れていった。
「…どんな事情があろうと、向こうにとっても、うちにとっても、お前は鬼邪高の人間だ。SWORDにもルールがある。それを破れば均衡が崩れて…大抗争だ。嫌だから他に入るとか…そんな簡単な話じゃないの分かってんだろ?」
「お願いします!!!」
チハルは、ヤマトの背中を見つめながら、ヤマトの言葉に耳を傾け、再度頼み込んだが、ヤマトは静かに首を横に振るだけで、何も言葉を発しなかった。
「…分かった。仕方ないっす…。」
諦めたように、チハルは荷物を手に取り、帰ろうとした。
「…あぁもう面倒くせぇ!!分かったよ!…明日、仲間に会わせてやるよ。」
「…あざっす!」
チハルの背中に声をかけると、驚いた表情で振り返り、勢いよく頭を下げた。
その様子を笑顔で見守りながら、ヤマトは続けた。
「でもよ…俺らのところに来たからって、何も変わるわけじゃねぇぞ。誰かを頼って生きても、問題は何も解決しねぇんだ。…お前の人生はさ、お前だけのもんだろ。自分を信じて…戦えよ。」
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2016年10月19日 7時