HiGH&LOW (ページ6)

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episode2.鬼邪高校ページ6

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「待てこら！おい！」

これは、チハルが山王に入る1ヶ月前の話。

すべては、ここから始まった。

大勢の学生服の男に追われている、これまた学生服のチハルがいた。
学生服の男たちは、そう。
鬼邪高校の生徒たち。

鬼邪高校。
それは、全国の札付きの悪が集まる巣窟。
鬼邪高の看板があれば
その筋からのスカウトが絶えない。
より良いスカウトを得るために
彼らは留年を繰り返す。
五度の留年は当たり前。
全国の番長が蔓延る、最も凶悪な高校。

夢中で逃げるために走り続け、地区を分断する目印となっているフェンスまでをも乗り越えてしまっていた。
山王街を走り抜け、細い路地を抜けたとき、白いＴシャツを着た長身の男にぶつかり、思わず倒れこんでしまい、そのまま追っ手にも追いつかれてしまっていた。

「…群れなきゃ喧嘩もできねぇのかよ！」

チハルは強気に言葉を発したものの、ブロックを掴んだまま殴りかかってこようとする相手に、目を閉じ、覚悟した。

しかし、いつまでも衝撃はやってくることがなく、横から男の声が聞こえた。

「…ここでやるんじゃねぇよ。」

ぶつかった白Tシャツの男が、ブロックを掴んだ男の腕を捻り上げ、動きを封じていた。
周囲の男たちが黙っているはずもなく、武器を手にしながら、次々と白Tシャツの男に殴りかかる。しかし、鉄パイプで背後から殴られようがビクともせず、襲い掛かる男たちを、次々と殴り倒していく。

「ん…？こいつら、鬼邪高？」

ひと段落ついたところで、白Tシャツの男が相手の学ランに留められた校章に目をやり、驚きながらチハルに尋ねた。
チハルは走り続けて、上がった心拍数が落ち着かず、呼吸を整えながら、必死に頷き返すと、白Tシャツの男は慌てるようにして、逃げ出してしまった。
「やっべぇ…コブラに怒られる！ずらかろ！」

しつかりと、その袖に刻まれた刺繍を記憶し、チハルも逃げるように走り出した。