HiGH&LOW (ページ33)

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店内で黙り込んだまま、動けないヤマトを一瞬見つめ、親友のことを思い出し、ナオミは店の外へと走った。

「…コブラ！」
「…あ？」

未だイライラした様子で、先頭で振り返るコブラに駆け寄り、コブラたちが来る前の店での出来事を伝えた。

「…A、泣いてた…あいつ、最近、色々考え込んでたみたいで…あのシャンデリア…手、怪我したって、ずっと触れながら…ずっとずっと泣いてたんだよ…」
「………」
「…お前も色々あんのは分かってる…けど！あいつのこと、1人にしないで…！ずっと…捕まえててよ…」
「………」
「…あいつ、このままじゃ…壊れちゃいそうだよ…」

ナオミが泣きそうになりながら、コブラに縋るように思いを伝えると。

コブラはナオミから視線を逸らし、何も言わずに歩き出した。

こんなにも大切で。

こんなにも守ってやりたいと思っているのに。

傷ついた彼女を。

どこかに消えてしまいそうな彼女を。

どうしたら引き留めることができるのか。
どうしたら守れるのか。
どうしたら心の底から笑わせてやれるのか。

あの人なら、そんなこと簡単にしてやれると思うのに。

少しも分かってやれない自分が悔しくて。

不甲斐ない自分を戒めるように、拳を、力一杯握りしめた。