HiGH&LOW (ページ30)

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Episode6.RUDE BOYS ページ30

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『…やっぱり…』

ヤマトに促され、ITOKANへ帰ると、扉に物騒な言葉で貼紙がされているのを発見した。
思わずため息をこぼしたのは、言うまでもない。

貼紙を剥がし、シーンと静まり返った店内に足を踏み入れると、一気に過去の思い出が頭の中を巡り、寂しさがこみ上げてきた。

『…どうしたらいいの…？』

写真立てが並ぶ一角を見つめ、中心に写る人物に静かに問いかける。
返事が返ってくることは、もちろんないのだけれども。

店の奥へと足を進め、先程ヤマトとチハルに移動させてもらった、壊れたシャンデリアに触れると、自分自身の気持ちや、大切な思い出が、少しずつ、どこかに消えていってしまっているような気がして、一気に涙が溢れ出してきた。

『…お願い…消えないで…』

前に進まなければ、と自分で決めたはずなのに。

『…忘れたくないの…』

たくさんの優しさで支え続けてくれているコブラにも、きちんと向き合おうって、決めたはずなのに。

『…どこにいるのっ…！！』

涙が止まらないのは、まだ愛しているからだと思う。

割れた瓶に触れた指先から、わずかに血が流れるのも、そっと開いた扉からナオミが入ってきたことにも気付かず、きつく、手を握りしめながら、やり場のない思いを、自分自身にぶつけながら、ただ、ただ、声をあげて泣き続けた。