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DINER ITOKAN
「ナオミは？」
『一旦帰した。誰かさんが一緒にいると酷いこと言うから。』
夜も更け、ヤマトが再びITOKANにやってくるまで、時間の経過にも気付かずに、思い出に浸りながら片付けを続けていた。
「ヤマトさん、これ…」
夕方にふらりとやってきたチハルが、柱に貼り付けられたナオミの置き手紙の存在を、ヤマトへと知らせてくれた。
ヤマトがその手紙を読み、大事そうにポケットへしまったのを確認して、少し安心した。
『ヤマト、チハル！それ、テーブルから降ろしてもらっていい？重たくて…』
「…よし、やるか！」
あまり見たくなかったシャンデリアを片付けるように依頼すると、気合いを入れながら、2人揃ってジャケットを脱ぎ、作業を始めた。
そのまま周囲の床に散らばったゴミをかき集め始めたチハルと、テーブルの方に向かったヤマトに順番に礼を言いながら目を向ける。
『ありがとね。』
「いえ！大丈夫です！」
返事の返ってこないヤマトに目を向けると、何か小さなものを手にして、ジッと見つめていた。
その様子にチハルも気づいたようで、ヤマトに目を向け、そのまま固まっていた。
「…チハル…これ…！」
ヤマトがチハルに問いかけると、チハルは慌ててジャケットをひったくり、店の外へと走り出した。
「おい！」
『え、ちょっと！』
ヤマトもジャケットを手に走り出したところで、テッツが店内に入ってきて、慌てた様子でヤマトに何かを伝えようとしていたが、それどころではなかった。
『ちょ…！テッツ、ごめん！あとお願い！』
「え？！」
ヤマトと共に、チハルを追いかけるため、混乱するテッツをITOKANに残して駆け出した。
『…見失ったね…』
ヤマトと共にしばらく走ったところで、チハルを見失った。
「ちょ…！チハルと何かあったんすか…？」
店を頼んだテッツが、後から追いかけてきて、息を切らしながら、そう尋ねた。
『…ちょっと…テッツ、お店の鍵は？！』
「ちゃんとやってきました！」
ヤマトが事情を隠そうとしていることを理解し、Aは話題を変えたが、得意げにガッツポーズを見せるテッツに、不安を隠せなかった。
「で、何なんだよ。」
「ダンさんが…こっちっす！」
『え、ちょっと…！』
「A！お前はITOKAN帰れ！つーか、家に帰れ！親父さんも心配するぞ！」
再び走り出した2人についていける気もせず、慌てて声をかけると、ヤマトに帰れと叫ばれたため、大人しく従うことにした。
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作者名：にゃんちゅう
| 作成日時：2016年10月19日 7時
