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「あいつら言ってた…盗んだものを返せって。そうでなきゃ、何度でも来てやるって…」
「…違う！！俺は盗みなんかしてへん！頼まれただけや…誤解や！」
慌てて弁解しようと近寄ってきたダンを少し見やると、ナオミは抱えていた写真立てに視線を落とし、言葉を続けた。
「…お前ら、二度とこの店に来んな…出てけ。」
「…ナオミ…」
「聞こえなかったのかよ！！」
声を荒げたナオミに、コブラ、テッツ、ダンと店の外へと向かっていく。
ヤマトは何か考えた様子でナオミを見つめ、すぐに店の外へと出て行った。
私も出て行った方が良いかと立ち上がると、床の軋む音が鳴り、勢いよく振り返ったナオミに腕を掴まれた。
「…A…待って…」
弱々しい声で名前を呼ぶ彼女が、珍しく泣きそうな表情で。
その姿を見ているだけでも心苦しくなり、自分が泣いてしまいそうだった。
『…私、ここにいてもいい…？』
ナオミが小さく頷いたことを確認し、消えてしまいそうなナオミを軽く抱きしめると、ナオミは写真立てを抱えて、静かに泣き出した。
『…お片付け、してるね。』
こんな時にうまく言葉をかけてあげられない自分が悔しくて。
自分の悲しさも紛らわすように、散らばったガラスの破片なんかを片付け始める。
彼との思い出を、思い返すように、ひとつひとつ、そのカケラを拾い集めていく。
ポロリと、自分の頬に、涙が伝ったことに、気づかないまま。
「…A…ごめん…ありがとう…」
ナオミが、横からAを抱きしめて、そう伝えると、そっとナオミを見上げ、ナオミの手を握りしめる。
『…思い出が、消えちゃう…っ』
ナオミも同じ立場なのにも関わらず、声を上げて、泣き出してしまう私は。
『…そんなの…嫌だよ…っ』
弱い、弱い人間だ。
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作者名：にゃんちゅう
| 作成日時：2016年10月19日 7時
