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口では文句を言いながらも、キッチンへと向かうナオミを見つめて、カウンターに腰掛けていたAも微笑むと、隣で着替えを終えたヤマトが軽くAの頭を叩く。
「お前も笑ってんじゃねーよ！」
『ふふ…ごめんって。』
ますます笑いながら、手元のカップに口付けると、カウンター越しにナオミから声をかけられる。
「A、これコブラに持って行ってもらってもいい？」
『…うん、分かった。』
ポチポチとスマホをいじるテッツたちのテーブルの横を通り、ソファで雑誌に集中していたコブラに声をかけた。
『コブラ…これ…』
「ん…」
コブラはどことなく嬉しそうに微笑み、Aからカップを受け取ると、隣に座るように促した。
Aも断ることなく隣に座り、特に何かを話す訳ではないが、雑誌に視線を落としながらカップを啜るコブラを見つめ、Aは穏やかに微笑んだ。
「A、お前ちょっと休め。」
『え？』
「…隈、できてる。」
『…うん…』
雑誌に視線を落としたまま、ぽつりとコブラが告げて、Aの頭を自身へ引き寄せると、Aも拒否することなく、コブラの肩へと頭を預けて目を閉じた。
「あっちはお互いほとんど喋らないのに通じ合ってる感じ…さすがっす…」
テッツは感心しながらもAとコブラの写真を撮り、ポチポチと操作を続けた。
「ちょ、お前…さっきから何しとんねん。」
「へ？インスタ。…え？知らないっすか？」
「へ…あれやろ？イン…スタ…やろ？」
ダンは言葉を濁しながら、タイミングよくかかってきた電話に応対するために席を立った。
「おい、大変や…スクラッパーズが…情報やと100人揃えてかちこんでくるらしい。」
「ったく…懲りない奴らだな…」
「100人いようと、奴らがこの街に来る前に止めますよーっと！」
テッツが立ち上がりながらそう言うと、ヤマトも同調し、気合いを入れ始める。
その横で、1人戸惑った様子のチハルが、ヤマトに問いかけた。
「あの…！痛くないんすか…？だってまだ怪我が…」
「いてぇよ。でもよぉ…大切なもん守れねぇ痛みに比べたら、こんなもん屁でもねぇ。」
コブラは静かに視線を前へと向けながら、隣に座るAの手を強く握りしめた。
その刺激にピクリと反応したAの肩を支えながらゆっくりと起こし、Aに顔を向けると、優しく声をかけた。
「…仕事して待ってろ。必ず、帰るから…」
Aが小さく頷いたのを確認すると、頭をポンッと叩き、静かにコブラは立ち上がった。
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作者名：にゃんちゅう
| 作成日時：2016年10月19日 7時
