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Bar ODAKE
『…なーんで私が呼ばれるの!』
「いいじゃない。たけちゃんから許可は取ってるから!はい、手当てよろしくね!」
店の片付け中、急に父から背中を押され、エプロンを外されながら、Bar ODAKEへ向かうように言われ、慌てて来てみると、山王連合会の面々が傷だらけの姿で座っていた。
私の父を"たけちゃん"と呼ぶのは、このバーのママ。
ヤマトの母と同じように、昔からの付き合いがあって、このバーに飾られたお花たちも、我が家のお花たちだ。
綺麗な笑顔のママから、少し大きめの救急箱を渡され、呆れながらも店内を見渡すと、1人離れた席に座ったチハルが気になり、チハルの手当てから開始することにした。
『消毒、するね。』
「あ…すみません…。」
顔、身体と消毒を進め、湿布を貼ったりしていく。
怪我の具合を見ると、壮絶な喧嘩であったことが想像できた。
「結局、お前も喧嘩してんじゃねぇかよ。」
「…俺は、山王を守っただけだ。」
「そんなん言い訳じゃねぇかよ。」
「…でも、良かったんじゃない?その、村山って子もケジメ分かってる子みたいだし。自分たちの信念貫いた甲斐はあったんじゃないの?」
「じゃあ…俺のおかげじゃん!なぁ?!」
ヤマトが、ママとコブラと話している間にヒートアップした様子で急に立ち上がったため、驚いてそちらを見ると、ママに窘められながら着席するヤマトと、その様子を見て笑顔になるダンやテッツの姿が目に入った。
『…はい、おしまい。』
「ありがとうございました…。」
傷の手当てを終え、服を着ながら立ち上がったチハルは、カウンターに向かって声をかけた。
「あの…!」
驚いた様子で、カウンター席の4人は振り返り、チハルの言葉を聞いた。
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2016年10月19日 7時