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『そっか…ナオミもヤマトのところにいたんだね。』
待つしかない私たちは、それぞれの店へと向かう途中で、お互いが大切な幼馴染のところに行っていたことが分かり、少しだけ笑ってしまった。
「…ほんと、アイツら、不器用なんだから…」
『でも、ヤマトのそんなとこが好きなんでしょ？』
「……は？」
『ふふ…なんでもなーい！』
ナオミよりも背の低いAは、ナオミの顔を見上げてけらけらと笑いながら、逃げ出すように先を歩き始めた。
『…なんかさ、こういう時…待つしかないんだけど…辛いんだけど…でも、コブラたちなら、必ず帰ってきてくれるって…ちょっとだけ安心できる気がする。』
「…A…」
『傷だらけで帰ってくるのは困っちゃうけどね！』
「…A、何か…あった…？」
先を歩いていたAの声がいつもと違うことが気になり、肩を掴んで振り向かせると、Aは困ったように笑い、俯いてしまった。
「ごめん…無理には聞かないから…」
『…雨宮広斗に、会った。』
「……え？」
『…雨宮広斗が…琥珀と一緒じゃないのかって…』
「…え、ちょっと…あんた、どこで…！」
『…ダメなんだ、私…。名前聞いただけで、一気に持ってかれちゃう…』
「…A…」
『…いつまでも、優しさに甘えてばっかりじゃいけないね。』
「…コブラの、こと？」
『…それも、含めて…かな。』
眉を下げて、そう言うと、再び歩き出したAの背中に、ナオミは小さく声をかけた。
「Aが決めたなら…応援するから…だから…いっぱい甘えていいんだよ…Aのためなら、何だってするから…」
『…ありがとうね。』
ナオミの声に振り返って、優しく笑ったAは、儚くて。
どこかに、消えてしまいそうで、なんだか怖くなる。
「…A…どこにも行かないで…置いてかないでよ…」
彼女を苦しめると分かっていても。
その小さな柔らかい手を握りしめ、そう伝えずにはいられなかった。
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作者名：にゃんちゅう
| 作成日時：2016年10月19日 7時
