HiGH&LOW (ページ11)

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ITOKANそばのお宅への配達を手早く終え、足早にITOKANへと向かうが、そこにコブラの姿はなかった。

「Aさん、あの…さっき…」
『…テッツ…勝手なこと言っちゃって、ごめんね…。』

どことなく暗い雰囲気の中、気まずそうに声をかけてきたテッツに対して、先回りして謝罪の言葉を伝えると、すぐ近くに先程の学生服の男が座っていることに気づき、Aは近寄っていった。

『…あなた、名前なんていうの？』
「え…？あ…チハル、です…」
『チハルくん。私はAって言います。…さっきは、偉そうなこと言っちゃって、ごめんなさい。』
「あ…いや…あの…」

Aの突然の謝罪に戸惑いながら、返事の言葉に悩んでいると、店の電話を受けたナオミが、ヤマトの方へと振り返り、鬼邪高校が山王街に来ていることが伝えられた。

「鬼邪高が来るとか…ありえへんやん…」

店の中心の大きなテーブルに座るダンが呟いた言葉に、チハルが立ち上がり、言葉を発した。

「…俺が行けば、済みます。」
「バカ言ってんなよ…！」
「いや…」
「コブラに、連絡するわ。」

ダンが慌てて電話をかけようとするが、その手をヤマトが止めた。

「…お前ら引っ込んでろ。自分のケツは自分で拭く。」
「いや…でも…」
「いいから！」

チハルの言葉を制して、ヤマトが店の外へと歩みを進めると、その後ろにダンとテッツが続いた。