episode1.山王連合会 ページ2
DINER ITOKAN
「いて…!」
「じっとしてろよ!…ったく、毎日毎日喧嘩ばっかり…バカじゃねぇの…」
ここの店主、ナオミがヤマトの背中の傷の手当てをしながら苦言を呈し、ジロリと店内を見回すと、その視線に気付いた山王連合会のメンバーが次々とナオミに視線を向けた。
「バカじゃねぇよ。なぁ!クズやって、何が悪いんだよ。」
「そうっすよ!それにこの間の奴らだって、ドラッグ売って金儲けして。仕舞いには女にこっそり飲ませて眠ってる間に…!」
「そんなの警察の仕事だろ!」
ナオミはそう叫びながら、ヤマトの負傷した背中を勢いよく叩く。
「いっっっってぇ!!!!…いてぇってば…」
「Aからも何か言ってやってよ!このバカたちに!」
カウンターの端に静かに腰掛けていた小柄な女に、ナオミが声をかけた。
『え…?あぁ……傷ばっかり作って帰ってくるのは…ちょっと…ね…』
Aは急に話を振られたことに驚きながら答えると、視線を手元のコーヒーカップへと移し、困ったように微笑んで、黙り込んだ。
「俺ら山王連合会は、自分たちの生まれ育った街を守る。ただそれだけや。そやんなぁ、コブラ!」
1人離れたソファに腰掛けていたコブラに、ダンが声をかけると、コブラは視線を上げ、静かに話し始めた。
「あぁ…そうだな。ただ…アイツらと揉めたら、面倒くせぇ…」
「せやなぁ…SWORDの均衡だけは、崩したらあかん…」
ダンの言葉を聞き、コブラへと向けていた視線を、各々が逸らし、静まり返るITOKAN。
ヤマトはチラリ、とナオミや山王連合会の面々を見つめると、急に立ち上がり、着替えながら話し始めた。
「心配すんなって!ナオミ、コーヒー1杯入れてくれ!」
「はぁ?!だったら、これまでのツケ払えや、ボケっ!」
「いいだろ1杯くらい!ブス!」
「はぁ?!ハゲっ!」
「ハゲ?!バカとボケはいいけど、ハゲはやめろ!ハゲは!」
どことなく嬉しそうな表情を浮かべながら、いつもの言い合いを始めた2人に、周囲も自然と笑顔になる。
テッツも笑顔で2人へとスマホを向けて、写真を撮り続けていた。
「本当仲良いですよね、あの2人。さすが幼馴染。」
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作者名:にゃんちゅう | 作成日時:2016年10月19日 7時