流星群18 ページ8
雅「だから無理して思い出すのは良くないと」
「違うんです」
瞳の水の膜ができる。視界は、まるで水面のように揺らいでいて、私の許容量が限界なのか感情が溢れてしまう。
「好きなんです」
止めどない想いは、透明な水のようだ
「私、雨宮さんのことが好きになってしまったんです」
夜空が滲む。沢山の流星が、空を横切った。
「どうしよう、私雨宮さんのことが好きなんです。あれ以来何も思い出せません。本当に、自分でもびっくりするくらい、雨宮さんのことが、思い出せないんです」
雅「Aさん、すいません今の話、聞かなかったことにしてもいいですか？」
「それってどういう意味ですか？私が雨宮さんをすきなったら迷惑ってことですか？」
雅「そうは言ってませんよ」
「でも…」
雨宮さんの瞳に、私は映ってる。
その外見は、確かにAのものだ。
Aのもの
「雨宮さんは、Aが好きですか？」
雅「好きですよ」
「なら、私は？」
雅「……」
「Aの記憶がない私のことは好きですか」
雅「もういいじゃないですか」
雨宮さんは私から視線をそらすと、星空を見上げた
雅「そんなことに答えを求めて、どうするんですか？」
雨宮さんは、雨宮さんは
「…私のことはどうでもいいんですね」
ゆっくりと立ち上がる。
夜露に濡れたスカートが少しだけ重かった
雅「どうしてそんな風に思うんですか、僕はただ…」
困ったように溜め息をつかれた。
めんどくさい。そう言われてる気がした。
雅「どうでもいいと思ったら、流星群を見にこんな山の中まで連れてきませんよ」
「違います、私は雨宮さんが今の『A』を好きか聞いているんです」
悲鳴のように叫んだ。
薬指にはめた指輪が、とても重く感じる
無機質な金属が、キリリと私を締め上げる
体も、心も
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作成日時：2016年11月9日 0時
