metropolis 2 ページ42
「お母さん。私ね、夢見てた」
朝御飯をつくるお母さん。
味噌汁と目玉焼きを焼くいい匂いがする
母「あら、どんな夢?」
料理に夢中なのか、返事だけが返ってくる。
「ええっとね、結婚する夢!」
母「フフ。相手はどんな人?」
「すごく優しくてかっこいい人」
母「それはよかったわね」
いつもの食卓。新聞を読んでいたお父さん。大きく広げた新聞紙にかくれて顔は見えなかったけれど不機嫌だ
父「Aが結婚だなんて認めんぞ!」
母「なにいってるのお父さん、夢の話じゃない」
お父さんの真面目な態度に笑ってしまった
「夢なんかじゃ、ないでしょ?」
お母さんの言葉に、急に視界がモノクロに変化した
あれ?そういえば、私‥なんで大人になってるんだろう。
お父さんとお母さんと過ごしたときは、私は小学生のはず
そう気がついた瞬間。
お父さんとお母さんが、遠くに見えた
「お、お父さん、お母さん」
大声で二人を呼んだけれど、その姿はどんどん小さくなっていく
「やだ、嫌だよ、お母さん達と一緒にいる!置いてかないで!淋しいのはもう嫌なの。一緒に連れてって!」
泣きじゃくりながら両親を追いかけた。だけど、何度も転んでしまう。それでも頑張って立ち上がって走ったけれど、距離は遠くなるばかり。とうとう力尽きた私はその場に崩れ落ちてしまった。
母「A」
懐かしいお母さんの声がした。
母「大丈夫、あなたは一人じゃないよ」
「お母さん」
何年も会えなかったお母さんとお父さんの顔は優しくて
記憶の中と同じ、変わらない笑顔だった。
しゃがみこんでる私に向かって、お父さんが指を差した
その方向を見ると、目が眩むほど強い光が射していた
父「もう時間だ、帰りなさい。A、お前には、待っててくれる人がいるんだろう」
「でも、嫌だよ。ずっと一緒にいてよ!いかないでよ傍にいて!話したいことたくさんあるの‥‥見せたいものだって、私、大人になったんだよ。いつも注意されてたところ直したよ。前よりいい子になったよ。だから、行っちゃやだよ。帰ってきてよぉ、お父さん、お母さん!!」
父「安心しなさい、お父さん達は、ずっと見守ってるぞ」
母「A幸せになりなさい」
お母さん、お父さんまたいつか会えるよね?
そのときは、たくさん話したいな
光の洪水に飲み込まれた私は、もうなにも見えなくて、
懐かしくて悲しい、だけど優しい世界に包まれた
20人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2016年11月9日 0時