◇魈 / 何度目かの ページ6
たとえ何度離れようとも
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最近、望舒旅館へ来る私を見るたびオーナーのゴレットさんは笑顔を浮かべるようになった。いつものように挨拶をして、先に台所を貸してもらう。今日の料理の材料を揃え、調理に取り掛かるとしばらくした頃にはいい匂いが漂い始めていた。
きっと、彼は今日も来てくれないだろうけど、私はそれでも食べやすさ重視の美味しい食べ物と、読まれているのかすら分からない手紙を持って最上階へと向かう。
「魈様〜?……うーん…やっぱりダメですよねぇ…」
そもそも私は人間で、彼は「仙人」、会おうとして会えるものじゃない。ただの人である私が仙人である彼を知ったきっかけは、夜に用事があって出歩いていた時に魔物に襲われたところを助けてくれて、危険があれば我の名を呼べ、と。
すぐにどこかへ行ってしまって、大声でお礼を言ったけれどそれが届いたのかが分からない。それだけ少し心残りだった。
あれ以来、全く会うことは無いけれど…とある物知りな先生にこの話をしたら、彼はよく望舒旅館に居るらしいと聞いてこうして毎週のように通っているわけだ。
「聞いてください、最近夢にまで魈様が出てくるんですよ〜…」
それも、悪趣味なもので。
どうしてか、日に日に鮮明になっていく夢。彼の顔が歪んで、涙を浮かべて、私の名前を何度も何度も叫んでいる。そんな夢ばかり見るようになった。
「…そろそろ行かないと。また来週来ますから!」
聞いてるかも分からないのに声に出して、踵を返し階段を駆け降りて行く。ゴレットさんに挨拶をして、旅館から外に出ると空は暗く淀んでいた。今にも雨が降りそうで、軽策荘まで出かけていった両親が気にかかる。
「あれ、おーい!旅人さん!」
「A!こんなところで何してるんだ?」
前から歩いてくる旅人さんと、ふわっと浮かび上がる不思議な小さな子パイモン。声をかけると駆け寄ってきてくれた。
望舒旅館で用事があって、とぼかしながら伝えて少しだけ他愛のない話をする。この2人とは何度か璃月港で会ったことがあって、仲は良いと思う。よく両親の店にも来てくれてありがたい。
このあとは軽策荘へ行っている両親の代わりに私だけで店を開くから良かったらまた顔出してほしい、と言うと2人とも嬉しそうに頷いてくれた。
夜には帰って来るって言ってたし…旅人さんも来てくれるからそれまで頑張ろう。
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こて - コメント失礼します〜!!!リクエストの件なのですが、八重神子をお願いしても宜しいでしょうか!あなた様の作品をいつも楽しく読ませていただいております🙏🙏 (2022年8月27日 10時) (レス) id: 903d9d5d23 (このIDを非表示/違反報告)
名無し3680号(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませていただいています。もし宜しければリクエストでティナリで出来ますでしょうか?これからも体にお気を付けください。 (2022年8月27日 0時) (レス) id: be46167942 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - コメント失礼します!平蔵くんでリクエストしてもよろしいでしょうか?無理そうでしたら大丈夫です!いつも楽しく読ませてもらっています!体調にお気をつけください! (2022年7月31日 18時) (レス) @page37 id: f124848c25 (このIDを非表示/違反報告)
こころ - 「専属神篇第三幕〜東京異変〜EP1〜104話【守るべき人】」の森羅万象支配か「専属神篇第三幕〜東京異変〜EP3〜171話【赫の暴帝】」のネルみたいに倒してみた、どちらか書きやすい方で大丈夫です。お願いします (2022年7月20日 0時) (レス) id: fa05d75225 (このIDを非表示/違反報告)
こころ - リクエスト失礼しますクロスオーバーって大丈夫ですか?大丈夫ならパトパトチャンネル様とのクロスオーバーみたいです。「彼を圧倒していた悪信教を圧倒したら」で、ガイア、綾人、しょう、誰かお願いします参考動画は次に書きます! (2022年7月20日 0時) (レス) @page9 id: fa05d75225 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりふき | 作成日時:2022年6月8日 21時