おはよう幻想世界【gnsn】

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店内がシンと静まり返る。


私の腕を掴み引っ張っていたはずの男が今は足元に転がっていた。一緒に飲んでいた男は若干腰を浮かしている、そんな彼にも視線を向けると今度こそちゃんと立ち上がった。



「コホン…閉店時間が近くなっております、お会計はあちらのディルック様にどうぞ。」



慌てたように会計へ向かった転がる男とその連れを笑顔で見送り、グラスも無事片付け終わってから他の客に詫びを入れていく。


怒られるかと思いきや「かっこよかった！」との声をいただいてしまい、少し照れ臭くなった。さすがにここで自分より大きい男を投げ飛ばすことになるなんて思わなかったけど…


知ってるのディルック様とガイアさんだけだったのに。


話もそこそこにディルック様からお酒を受け取って2階へ上がると、私に気付いたガイアさんが隅の席で手をあげる。



「お待たせしました…お騒がせしてすみません、ガイアさん。」

「いいや、気にしてないぜ。いいもん見れたしな。」

「恥ずかしいのであまり言わないでください…」



と言うか見てたんですか、と聞くと当たり前だと頷かれた。



「気になる奴(・・・・・)を見つめることの何が悪いんだ？」

「……それ、勘違いされますよ。」



そう返事をすれば、頬杖をついたまま意味ありげに笑みを浮かべるガイアさん。




「Aになら勘違いされても良いんだけどな。」

「あの、それは…」

「お前は俺が、好きでもないやつにこんな距離まで迫ると思ってるのか？」



人がいないからか、突然立ち上がったガイアさんはぐっと顔を近付けてくる。彼から目を逸らせない私は、じっと見返すことしか出来なかった。




「…なんてな。ほら、ディルックに怪しまれる前に戻れよ。」

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