おはよう幻想世界【gnsn】

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依頼は順調だった。紺色に染まって行く空には星が浮かびはじめていて、この調子ならモンド城に着くころにはいい時間だと大きく伸びをする。


——ふと風がざわめいた。


こんな綺麗な夜にはふさわしくない風に一度足を止めて、それから踵を返し走り出す。嫌な予感がする、走って走って、それから着いた先にはアビスの魔術師とヒルチャールと、意識を失っている子供。



武器を手に突撃するには十分だった。たとえ、私が扱う元素と魔術師のシールドが相性最悪でも。



ヒルチャールを一掃するのはすぐで、でもアビスの魔術師はそうもいかない。私の元素は水、相手は氷、どう考えてもあのシールドを割れない。ならば、と子供から離すように誘導して目眩し程度に攻撃を与える。


そのまま全速力で子供の元に戻り容態を確認すると、少し体が冷えてしまっていた。急いで抱きかかえてモンド城へ向けて走りだす、アビスの魔術師はまだ追いかけてきてて非常に鬱陶しい。



「う、ぅ…」

「大丈夫、大丈夫だから、すぐ大聖堂に連れて行ってあげるね…！！っ、ぐ！…っうぅ……」



この子を抱えたままだと攻撃はうまく避けられない。けど見捨てるもんか、なんの関係もないこの子を巻き込むなんて私にはできっこないんだから。



モンド城に駆け込むと門番の人が驚いた声をあげて、さらには街の人もざわめきだした。そんな声を無視して西風大聖堂へ入るとシスターも小さな悲鳴を上げる。


近くに居た人に子供を託すと、気が抜けたのか足から力が抜けて行った。



「っ、Aさんの方が怪我が酷いじゃないですか！なぜそんな、」

「子供は放っておけないでしょ、私なんかよりその子の方が大事なの。」



ぽたぽたと地面へ垂れて行く赤い液体。


赤、赤——そうだ、ディルック様に会いに行くって言ったけど…私が言ったことを破るのはこれが初めてかもしれない。




あとで、謝らなくちゃ。自分で言ったことは守らないといけないのに—

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