〃 ページ4
——私の記憶、失くしていたもの。
大事なはずだった。悲しいことが、辛いことが何度訪れようと、私はそれらが何よりも手放せないものだった。そのはず、だったのに。全て、全て全て、取りこぼしてしまっていた。
魈と、甘雨と…留雲や理水にも、あんな顔をさせてしまって、そんなの私が居る意味が無いんだから…
「…いか、なくちゃ……」
走馬灯のように流れていった記憶、莫大な量の記憶に脳の処理が追いついていない。頭が割れそうなほど痛んでいた、それでも私は行かないといけない。嫌な予感がする。
気付けば、壁に寄りかかるように座っていた。丁度、黄金屋から走って出ていく空が見えて、重たい体を動かす。
「…これ、は……」
ここで何が起こって、外で今何が起ころうとしているのか、不思議と手に取るように分かるこの感覚をよく知っている。
全て思い出した今、やることは決まっていた。
限界を迎えそうな体を無理矢理動かして外へ出ると、禍々しい空気がいっそう濃ゆくなる。慣れてなかったり弱い「人」は原因のモノへ近づくだけで動けなくなると思う、それほどのものが今の璃月港にいると思うと鳥肌が立ち始めた。
「行かないと…っ…」
力が抜けて体が傾いて、倒れそうになる。思わず目を瞑ると、突然腰を抱かれ強く引かれて倒れることはなかった。
「あ、ぁ…帝君…？」
私の体を支えているのは、鍾離先生…紛れもなく帝君だった。
「全て、思い出したか。」
「っ帝君、帝君…！ごめんなさい、私…！契約を…っ！」
泣きそうになる私に、帝君は静かに首を振って言う。
「今、璃月の民が危険に晒されている…この意味が、お前には重く聞こえるだろう。A、お前に機会を与える。お前の役目は、何だ？」
「……「人」を、「仙人」を、あなたを、そしてこの璃月を
そう、あの時に誓った。強く強く願った。もう目の前で大切な人を失わないように、この身がどうなろうとも守り続けると。
「これを持って行くと良い。」
帝君が私に差し出したのは、昔使っていた槍…それから、その槍を今の私に合うよう調整したものだった。
それを手に取ると、神の目が眩い光を放つ。雷元素——それが、私が持つ神の目。
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匿名 - 感動できる物語を読まさせていただきありがとうございます！！これからも応援しています！ (2022年6月14日 21時) (
レス) @page15 id: e82571c646 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 続編おめでとうございます！最初から読ませて頂きました！更新頑張ってください！応援してます！ (2022年6月3日 22時) (レス) @page4 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりふき | 作成日時：2022年6月1日 19時
