〃 ページ17
しばらくして魈は私から離れると、顔を背けてしまった。恥ずかしがってるらしく、声をかけても振り向いてくれない。
「…また呼ぶ。何かあればお前も我を呼ぶといい。」
気配が離れていく。返事をする前に行ってしまったけど、今回は仕方ないかとため息をついた。今までの時間を埋めるために、当分は頻繁に会いに行こうと思う。
他の仙人ともゆっくり話をしたい、しばらくは予定を組んでやっていくことにして…
「A、買い物に行くぞ。」
「買い物、ですか…」
「む、今日はモラを持ってきているからそんな顔をするな。なにせ買いに行く物はお前への贈り物だからな。」
鍾離様はそう言うと私の頭にぽん、と手を乗せて僅かに微笑む。鍾離様からの贈り物、と言うとなんだろう…？
考えを巡らせながら璃月港へと歩く道のりは、お互いしゃべることもないけど私が過去に望んだ平穏そのものだった。あのときに比べて空気も人々の心も比較的安泰みたいで私も嬉しい。
数々の犠牲の上で成り立つ璃月の現在は人の思惑が飛び交っているようだけど…血生臭いものから程遠いのならそれに越したことはない。
「そう言えば…お土産買ってきましたよ、蒲公英酒。」
「…向こうで酒は飲んでないな？」
まさか、と笑って頭によぎるのは酔いが覚めたウェンティの焦った顔。「じいさんは過保護すぎる。」「ボクもAと酒飲みたいから次はその“加護”無しにして来てね！」とか帰り際に言われたのを思い出す。
うん、まぁ…モンドに行くって言ったら確実に“加護”はつきそうだし、何も言わずに璃月を離れることは本来すべきじゃないからウェンティのお願いは聞けそうにないな…
「今日飲むのならお付き合いしますが…」
「…そうだな、ならば今夜俺の元に来い。昔のように月を眺めながら晩酌するのも悪くないだろう。
「！ …よろこんで。」
今夜の約束を交わすと、丁度璃月港に到着した。鍾離様はもう行く店が決まっているのか、私の手を引いて真っ直ぐに歩き始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原神」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
匿名 - 感動できる物語を読まさせていただきありがとうございます！！これからも応援しています！ (2022年6月14日 21時) (
レス) @page15 id: e82571c646 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 続編おめでとうございます！最初から読ませて頂きました！更新頑張ってください！応援してます！ (2022年6月3日 22時) (レス) @page4 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりふき | 作成日時：2022年6月1日 19時
