17『少女は手記を綴る』 ページ16
モンドで3日。西風騎士団の手伝いや人々の依頼をこなしながら過ごした私は、そろそろ璃月へ戻ろうと思い城から離れたところで空と話をしていた。空はもう少しモンドでやることがあると言う、それとこれから稲妻へ行くために色々としなければいけないらしい。
だから空とパイモンとはここでお別れ。ここから璃月に戻れば、私の旅は終わってしまう。それは少し寂しいけど、いい旅だったと心から言えるのは確かだった。
「空、これ良かったら受け取って。」
「小瓶…中身は清心の花びら…?」
最後に手渡すのは私からのお礼。と言っても2人にとっていいものであるのを願うしかない代物だけど…
「距離を離れると位置が曖昧になって飛ぶにはリスクが高くなるの。その清心の花びらには私の仙力が込めてある、それを辿ればすぐ飛べるんだよ。」
「ってことは…オイラたちがピンチになったら助けに来てくれるってことか!?」
「ありがとうA。その…ピンチじゃなくても呼んでいい?」
そんなの返事は決まってる。笑みを浮かべながら深く頷くと、空はもう一度嬉しそうにお礼を言った。
「また遊びに来てね、待ってるから。」
「おう!またな〜!」
2人に手を振って、目を瞑り璃月へと飛ぶ。戻ってきた場所は望舒旅館、魈がいる場所だった。鍾離様の気配もここにある。
駆け足でその方へ向かうと、2人で何か話しているのが見えた。それに構いもせず、鍾離様へと勢いよく抱きつく。
「おっと…どうした。」
「……いえ…ただいま戻りました。」
軽々と私を受け止めた鍾離様は優しく頭を撫でてくれる。やっぱり璃月の空気は落ち着く、戻ってくることが出来たのを鍾離様の腕の中で改めて実感していた私はハッと後ろを振り向いた。
他所でやれと言いたげな魈が私をじっと見つめていた。そんな表情なのは鍾離様の前だから、と言うのを理解した私はそっと離れると今度は魈には抱きついてみる。
「っ、おい、帝君の前で…!」
「構わない……A、好きなだけ抱擁してやるといい。」
「て、帝君……っ!」
何も言わないまま、魈の頭を自分の肩口に押し付けるように抱きしめる。不可抗力とは言え、彼を長い間1人にしてしまったことが引っかかっていた。
「——降魔大聖…ごめんなさい、あなたをひとりにしてしまった。」
「……全くだ、我の側を離れないなどと言っておきながら…」
226人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「原神」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
匿名 - 感動できる物語を読まさせていただきありがとうございます!!これからも応援しています! (2022年6月14日 21時) (レス) @page15 id: e82571c646 (このIDを非表示/違反報告)
ふわな - 続編おめでとうございます!最初から読ませて頂きました!更新頑張ってください!応援してます! (2022年6月3日 22時) (レス) @page4 id: 71a4ce2144 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きりふき | 作成日時:2022年6月1日 19時